2023 Fiscal Year Research-status Report
多様性を包含する学校・学級集団創出に向けた質的研究及び課題発見・解決ツールの開発
Project/Area Number |
23K02413
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
若松 昭彦 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (70230919)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 子どもの姿で語る質的研究 / 教室状況認識 / 上野流KJ法 / SCAT / エンゲージメント / 特別活動絵本プロジェクト / 絵本の出版 / 多様性の包含 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下には,研究実施計画に記載した第1軸と第2軸に分けて,令和5年度に実施した成果を述べる。 第1軸では,研究実施計画に記載した目的に沿って,子どもの姿で語る質的研究を蓄積することができた。具体的には,岡山県内の小学校との共同研究,広島県内1市2町の小学校との共同研究を査読誌ではないが公表した。いずれの共同研究も,複数の小学校教師に協力を依頼し,様々な出来事が絶え間なく生じる教室(学級)での状況認識の実際を解明する質的研究であり,手順が明示化されている分析方法(上野流KJ法/ SCAT: Steps for Coding and Theorization)を用いた。また,児童に協力を依頼したエンゲージメントに関する質的研究も,広島県内4つの小学校との共同研究を実施しており,現在修正再審査や修正採択等に対応し,査読誌掲載を目指している。こうした質的研究は,保育の分野では検討が進んでいるものの,小学校教育の分野では十分な検討が進んでいない現状の突破口になり得ると考えられる。 第2軸では,研究実施計画に記載した目的に沿って,教室(学級)という小社会の中で多様性を包含することを理念に据えて,申請者,小学校教師(内1名がプロジェクトリーダーとなり,協議内容を踏まえて絵本の脚本を担う),絵本作家,博士課程後期院生で構成される特別活動絵本プロジェクトメンバーで複数回協議を行った。協議を経て,詳細は絵本第2弾の出版(前回科研費で絵本第1弾を出版済)までは非公表ではあるが,教科等横断的視点も踏まえたシナリオ素案を作成するに至った。 以上,概ね,研究実施計画通り実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1軸,第2軸共に,申請当初想定していた研究実施計画通りに実施しているため。なお,研究実施計画通りに進んでいる背景には,多忙を極める反面,働き方改革が求められる小学校教師(研究協力者)の子どもたちへの深い愛情と献身,職責を全うするための弛まぬ努力がある。小学校教師の支え,力添えなくして,本研究は実施し得ないと考えている。また,前回科研費と今回科研費の動きに注目した他大学から申請者に講演依頼があり,2023年10月,将来小学校教師を目指す学生300名程度と所属教員10名程度に対して講演を行うことができた。これは,申請当初想定になかった科研費による波及効果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には,第1軸,第2軸共に,令和6年度以降も引き続き,研究実施計画に沿って実施したいと考えている。 第1軸では,特にエンゲージメントに関する質的研究が査読誌に掲載されるべく,対応に力を注ぎたい。また,教室状況認識に関する質的研究も,現在,査読誌に掲載されるべく,ある大学教授とともに共同研究を進めており,今後も執筆を進めたい。 第2軸では,研究実施計画に記載している通り,各専門家の指導・助言を受けながらシナリオ素案を完成させ,ラフスケッチの製作・推敲等を進めたい。
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Causes of Carryover |
当初計画になかった,絵本の脚本を担う小学校教諭らの管理職昇進や大学院進学等で,限られた協議しか実施できなかったため,脚本案を踏まえた絵本作家・学級経営学等の大学教授からの専門的知識提供が想定を下回ったことが,次年度使用額が生じた主な理由である。 2024年度以降,第一弾を超え,第二弾への周囲の期待に応えるような,よりよい絵本製作のために,教科教育学専門家や特別活動学専門家の協力を仰ぐとともに,引き続き絵本作家と絵本画家に「絵本プロジェクト」に関する専門的知識を提供していただく必要がある。また,絵本のラフスケッチ案が仕上がった段階で,印刷業者に対して絵本の印刷・製本に費用を支払う必要がある。さらに,効果検証および共同研究報告会実施に関する費用の予算を重点的に配分したいと考えている。
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