2023 Fiscal Year Research-status Report
米国占領政策下の沖縄における「養護教諭」の活動を支えた要因の検討
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23K02439
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
和氣 則江 琉球大学, 医学部, 講師 (90315474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
當山 裕子 琉球大学, 医学部, 准教授 (90468075)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 養護教諭 / 学校保健 / 教育活動 / 公衆衛生看護 / 駐在制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における学校保健活動は,明治初年以来およそ150年余の歴史を有し,学校医をはじめとするさまざまな保健医療関係者の協力を得ながら教育行政のもとで運営され発展してきた。日本本土では戦後いち早く「学校衛生刷新の件」により学校保健の取組が再開されたにもかかわらず,戦後すぐに米国統治下におかれた沖縄では戦前に養成・配置されていた学校衛生婦の配置はなくなり,米国式の公衆衛生行政に組み込まれた形で,学校保健の取組は等閑された。地上戦が行われた沖縄の医療従事者は極端に少なく,大小さまざまな島嶼から成る地理的特性があり,学校医の配置はままならない状況であったことも一要因である。施政権が異なる状況下であったにもかかわらず,日本本土に準じた学校教育法を整え「養護教諭」の配置をみたことを機に,学校保健の取組が急速に整い,児童らの健康状態が大きく改善された経緯がある。その発展ぶりは,日本本土の学校保健指導者が驚嘆するほどであったといわれる。 本研究は,米国統治下(1945~1972年)の沖縄における公衆衛生行政および学校教育行政に関する日本本土との比較をとおし,沖縄で学校保健を急速に発展させ得た外的・内的要因について検討するものである。 初年度は,沖縄に初めて配置された「養護教諭」らの養成や配置・活動状況について,カリキュラムや活動記録等の資料を収集し,当時の公衆衛生看護婦との関係を含めて把握し,日本本土との比較を通して沖縄における特徴をとらえることを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
米国統治時代の沖縄において唯一の養護教諭養成機関として指定されていた公衆衛生看護学校が組織改編され,当時の資料が散逸していることや,関係者が高齢(90歳代)なっており健康上の理由等で,思いのほか資料収集に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
養護教諭の先駆者のみならず,公衆衛生看護学校(のちの沖縄県立看護学校・沖縄県立看護大学)の同窓会を通じて伝手をたより,米国統治時代の公衆衛生看護学校のカリキュラムその他の資料および証言を収集する。
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Causes of Carryover |
英文資料の和訳について,当初はネイティブの方に翻訳を依頼する予定で人件費・謝金として計上していたが,翻訳サイトDeepLを導入することで翻訳が可能となったため,その分が浮いた。 今後,文献調査に加えて養護教諭の先駆者らにインタビュー調査を行う予定である。対象者が高齢であり,数回に分けてインタビューを行う必要があり,当初の計画よりも回数が増えることが想定される。ガソリン等の値上げも想定されていることから,調査協力者への謝金や移動の際の交通費等に充てたいと考えている。
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