2023 Fiscal Year Research-status Report
アメリカにおける学校から職業への移行支援施策の展開:職業教育の高大接続を中心に
Project/Area Number |
23K02479
|
Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
石嶺 ちづる 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (80551655)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | キャリア教育 / 学校から職業への移行 / 高大接続 / アメリカ / 職業教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、アメリカ合衆国(以下:アメリカ)における「進学とキャリアの双方」に備える(“college and career” ready)学校から職業への移行支援施策についてP-TECHを中心的な分析の対象とし、質保証(視点①)、実社会との関連性(視点②)、連携体制(視点③)を視点として、職業教育の高大接続プログラムを学習内容(視点①②)と実施体制(視点③)の両面から総合的に検討する。このことを通して、先行研究では十分に解明されていないアメリカの移行支援施策の展開におけるP-TECH開発の意義を明らかにし、職業教育の高等教育化が進行する日本の高等学校職業教育改善の示唆を得る。 2023年度はニューヨーク市のP-TECHとAdvanced Careerの調査を主に実施する。アメリカの専門ジャーナルを中心に、職業教育の高大接続改善に関する最新の文献を収集・レビューした。2023年12月にニューヨーク市のP-TECHとAdvanced Careerに関するフィールドワークを合わせて10日間実施した。実践校と教育委員会・大学等を訪問し、資料収集・関係者への半構造化インタビューを行った。文献調査の結果を踏まえて、P-TECHの比較対象プログラムとしてオハイオ州の高大接続プログラムCCP(College Credit Plus)に着目することとした。2024年3月に同州で10日間の予備調査を実施し、実践校と教育委員会・大学等を訪問し、関係者への半構造化インタビューを行った。 CCPに関する文献調査、特にオハイオ州における職業教育改革の展開を日本職業教育学会で自由研究発表し、関連分野の研究者と研究協議を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年12月にニューヨーク市のP-TECHおよびAdvanced Careerに関する調査を実施し、両プログラムにおける高大接続の実態を3つの視点(質保証、実社会との関連性、連携体制)から解明することができた。2024年度は当該調査の結果を分析(比較検討)し、その結果を学会等で発表し関連分野の研究者と協議することを通して、分析結果を検討する。 また、文献調査の結果から、P-TECHの比較対象としてオハイオ州のCCPが適切であることが明らかとなり、予備調査を実施した。2024年度は当該プログラムに対する本調査を実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、シカゴ市のP-TECH調査とオハイオ州のCCPを主に実施する。ニューヨーク市のP-TECHとAdvanced Careerの調査結果を分析し、両者の比較結果を日本職業教育学会等で中間報告を行う。また、オンライン会議システム等を活用して、アメリカの研究者と分析結果を協議する。9月にシカゴ市のP-TECH、3月にオハイオ州のCCPに関するフィールドワークをそれぞれ5日間実施する。実践校(2校)と教育委員会・大学等を訪問し、資料収集・関係者への半構造化インタビュー、授業実践の観察を行う。 また、2023年度の研究成果を踏まえて、日本職業教育学会で研究成果を発表し、関連分野の研究者と研究協議を行う。
|
Causes of Carryover |
円安の影響で、研究計画段階では二度にわたって実施予定であった現地調査の実施(費用の確保)が困難となり、一度に実施した。そのため、日本・アメリカ間の移動費が1回分少なくできた。また、オハイオ州調査は他の研究課題と併せて実施できたため、本研究課題からの支出を抑制することができた。 次年度以降も円安の影響で現地調査費用が研究計画時より高騰することが予見される。差額分に次年度使用額を充て、次年度は円安の影響を受けることなく調査を予定通り実施できるようにする。
|