2023 Fiscal Year Research-status Report
芸術批評に基づく授業構成モデルの展開:ホリスティックな学びのパラダイム
Project/Area Number |
23K02492
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
桂 直美 東洋大学, 文学部, 教授 (50225603)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一成 東洋大学, 文学部, 教授 (50802104)
北澤 俊之 東洋大学, 文学部, 教授 (70553741)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 美的教育 / ホリスティック教育 / 芸術批評 / 主体性 / カリキュラム構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究の課題としては、アートの表現と創造を範型とするワークショップを実践し、その協同の学びを支える諸要素を析出することが第一にあげられる。まず、音楽教育を中心として、視覚芸術作品の鑑賞から音楽作品の共同創作に向かうラボラトリー形式のオープンカリキュラムを実践した。7月に、約一ヶ月に亘って、コロンビア大学のランダル・アルサップ教授を招聘し、西洋文化の視点から日本文化を捉え直すワークショップを行い、教員養成過程の大学生を対象とした実践とアーティファクトの分析を行った。今年度のアクションリサーチによって得られた示唆としては下記のような点がある。 第一に学生自身の表出・表現を促す要素として、自文化を深く経験し捉え直すという目標を付加し、ポップカルチャーと芸術的な作品との垣根を取り去ることで、表現活動につきまとう心的バリアを取り払っていくことが可能になる。第二に、日本の文化的伝統に根ざした芸術作品の鑑賞において、〈詫び・寂び〉の視角からの鑑賞体験を加える中でもたらされる開放性の希求や、〈初心〉の心構えを引き出し、学習者とともに解釈していくワークショップは、個の表出・表現に好ましい影響をもたらすことが見出された。 従来の芸術教科教育において定型となってきた表現活動と、どのような要素が異なるのかを整理して、複数の教科枠を横断し到達目標に制約されないオープンカリキュラムと、ラボラトリー形式の授業を構成していくことが、次の課題となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定したワークショップを含むアクションリサーチを行うことができた。また国際学会におけるヨーロッパやアメリカの研究者との対話を通して、日本の伝統的な芸術の視点に根ざす授業構成への示唆が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度からの科研研究で到達した課題を柱に据え、国際学会において発表したアクションリサーチの成果を、共同執筆論文にまとめていく。また、美術を中心として他の領域に波及していくような新たなワークショップの構想と実践を通して、ラボラトリ形式のホリスティックな教育を構成する要件について検討する。
|
Causes of Carryover |
当初計画していた物品購入が別予算から行われたことと、海外招聘の計画を縮小し、その分を次年度に繰り越したため、今年度の予算を下回った。
|
Research Products
(1 results)