2023 Fiscal Year Research-status Report
The Relationship Between Teachers' Sexual Offenses and Pedophilia Disorder
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23K02494
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
大橋 渉 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50447497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 由樹子 奈良大学, 社会学部, 准教授 (30880314)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 性犯罪 / 教員 / 保育士 / 小児性愛障害 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(2023年度)は、幼児・児童・生徒と日常的に接する者(教員および保育士)の性犯罪の特徴について、政府公表のデータを用いて解析を行った。現在投稿中(Violence and Victim誌)の論文においては、教員の性犯罪が18歳未満の未成年者に傾倒している点を明らかにした。18歳以上の成人に対する性犯罪率は非教員と比較しても高くない(0.99倍)のに対し、未成年者(18歳未満の者)に対する性犯罪率は1.46倍と高いことが示された。この結果は、教員に対し特別な対策が必要であることを改めて示している。 また、未就学児の性被害の半数以上が保育士、幼稚園教員などの立場の者により行われていることを、報道記事の文字情報解析(テキストマイニング法)により明らかにし、乳幼児教育学会における発表、および学術誌への投稿(子どもの虐待とネグレクト誌)を行った。報道記事というバイアスは考慮する必要があるが、未就学児に対する性犯罪の加害者の45%が保育士によるものであった点に着目し、教員免許状同様、保育士免許においても小児性愛障害を欠格事由として位置付ける必要性を指摘している。また、無認可保育施設における「保育補助」の在り方に関しても、保育士同様の見直しが必要である旨も指摘している。また、共同研究者により、心理学的評価により性加害を行った教員の特徴を明らかにした論文投稿を行った(臨床心理学誌)。 日本と比較的文化および教育制度が類似している、隣国台湾における性被害の防止策などの取材を行った。台湾においては、保育施設および小学校におけるセキュリティカメラの設置が一般的であり、システムとして「死角」を作らない点などは、日本国内においても非常に有効であると判断できた。その他DBSの在り方、法律の弾力的運用による「職業選択の自由」下での就業規制の在り方などは、今度の学会発表等で紹介を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文を3本投稿も、査読に時間を要しており現在10カ月が経過している。教員による性犯罪の新聞記事データベースもほぼ完成しており、実際にこれを用いた解析、結果の学会発表、論文投稿も行っているため、ほぼ計画通りと判断する。一部教育委員会からのデータの提供に関し、責任者、担当者の変更により急な提供不可能案件が発生したが、全体への影響は軽微であると考える。 しかしながら、当初台湾における未就学児に対する性犯罪を、データ上は「皆無もしくは少ない」と見積もっていたが、実際に訪台により「性犯罪と見なされていない」だけの可能性を体感した。データ上低く見積もられているのであれば、日本における制度の適用においては考慮しなければならない部分である。
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Strategy for Future Research Activity |
政府公表によるデータおよび報道データベースの解析を進め、さらに層別化および細分化された教員、保育士の性犯罪の特徴について報告を行う。加害教員の特徴づけを行い、小児性愛性のスクリーニングのための基本項目を策定できるところまでを、2024年の到達目標とする。現在、教育委員会をはじめ、新たに性障害治療センターおよび治療院などから、性犯罪の加害者情報の収集を進めており、引き続き文字情報の解析を行う。
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Causes of Carryover |
円安による海外出張費の高騰が原因。海外取材はほぼ決着したので、今後は国内における取材費のみの予定。
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Remarks |
教員による性犯罪および研究に関する取材対応
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