2023 Fiscal Year Research-status Report
救急処置に伴う養護教諭の心理的ストレス回復過程の解明と予防教育プログラムの検討
Project/Area Number |
23K02532
|
Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
湯原 裕子 聖徳大学, 心理・福祉学部, 講師 (50882213)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 養護教諭 / 救急処置 / 心理的ストレス / 予防教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,学校で養護教諭が救急処置を行った際に生じる心理的ストレスの現状と対処法,回復段階の構造を現職養護教諭へのインタビュー調査を通して解明した上で,心理的ストレスへの準備性を高めるための予防教育プログラムを検討し,養成段階の教育に導入することである。本年度は、現職養護教諭の救急処置における心理的ストレスの現状と対処法,回復段階に関する構造の明確化が研究課題であった。 2023年10月~2024年3月に、実務経験10年~19年の関東圏の中堅養護教諭14名に半構造化インタビュー調査を実施した。インタビュー項目は,①医療の対象となった傷病を対応した時の心理的ストレスの現状,②心理的ストレスへの対処方法,③心理的ストレスの回復段階と影響要因,④心理的ストレスに関して周囲や社会に求めること,⑤心理的ストレスに関して養成教育に求めること、の5項目である。 インタビューはICレコーダーに録音し,逐語記録に起こした。救急処置における心理的ストレスの現状と対処法,回復段階に着目して内容を抽出し、心理的ストレスの構造について整理している。学校での事故対応において養護教諭が救急処置を行った際に起こりえる心理的ストレスとして、処置内容や病院搬送の有無を判断する過程、手当や病院受診を終えた事後処置の過程、子供の傷病が回復していく過程において、養護教諭特有の内容を抽出することができた。今後はストレスへの対処とその回復過程に影響を与える要因について整理していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー協力者との日程調整に時間を要し、対象者全員へのインタビュー調査が終了するまでの期間が長期になった。逐語記録の分析予定の時期が想定よりも後ろ倒しになった。そのため、研究課題の成果を学会等で発表するまでに至らなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は「救急処置における心理的ストレスに対処するための予防教育プログラムの検討」を行う。 養護教諭へのインタビュー調査の分析によって明らかになった救急処置に伴う心理的ストレスの構造を基に,ストレスが回復する段階にどのような要素が影響していたかを抽出する。その要素を身につけ,強化するために養成段階ではどのような事前教育が必要かを検討する。主にストレス反応や経過を理解するための授業,対処法にはどのようなものがあるのかという心理学の知識や技術を得る授業,事例検討を中心とした体験授業が想定される。教育プログラムの検討には,ラザラスのストレスマネジメント理論を参考にする予定である。
|
Causes of Carryover |
インタビュー調査は関東圏の学校に勤務する養護教諭に実施したが、養護教諭の勤務する学校を使用できたことで会場費等の支出がなく、また遠方の学校はなかったため、会場までの交通費も少額となったため、残金が生じた。またテープ起こしを外注したが、想定よりも支出が少額となった。 2024年度は、研究成果の学会発表のための国内旅費や論文投稿に向けて英文翻訳補助サービスを利用予定である。またプログラム開発に向けて参考図書を購入する予定である。
|