2023 Fiscal Year Research-status Report
Practical Research to Promote Self-Understanding in Children with Invisible Disabilities; Focusing on Low Vision Children
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23K02568
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
相羽 大輔 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (50735751)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | インビジブルな障害 / 弱視 / 自己理解 / 弱視 / ロービジョン / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インビジブルな障害の代表例として、早期から学習支援ニーズの高い弱視児に着眼し、障害に関する自己理解の構造や水準の深化のプロセスを、発達心理学のモデルと対比しながら解明することを第一の目的としている。そのため、2023年度から2024年度においては、児童期から青年期までの弱視児を対象に、見えにくさの理解を含む自己理解の発達の特徴を、20答法を用いた質的調査により検討する。 具体的な内容として、2023年度は、まず、調査内容を精査し、日本ブラインドサッカー協会のUB-Finderを活用しながら、弱視児童生徒がオンラインで解答可能なシステムを構築し、調査を展開した。ただし、弱視児の中には、年齢が低く、オンラインでの回答が困難な場合があり、そのようなケースでは、構造化面接法による調査も実施した。 その結果、小学校低学年3名、小学校高学年8名、中学生4名、高校生4名、大学生5名の計24名からの協力が得られた。データ数が少ないものの、見えにくさの理解の発達には、次のような特徴が示された。すなわち、小学校までは、見え方を抽象的に説明する傾向、見えない/見える物や場所を具体的に例示する傾向が強いこと、中学以降は、視力や視野を数値で表現する傾向、周囲の視点に立ち、見え方を例示する傾向、羞明や夜盲、眼振等、他の視機能についての説明をする傾向が強まることが示された。一方、合理的配慮の理解については、高校以降で必要とする支援サービスのバリエーションが増加する傾向が示された。 このような知見は、合理的配慮を要請するための意思の表明の仕方を弱視児童生徒に指導する際の基礎資料として意義深く、授業を組み立てる上で重要といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要でも述べたように、おおむね、弱視児の見え方をはじめとする自己理解の様相の検討が進んでいるものの、未だ協力者の数が想定の25%に留まっているため、2024年度も調査を継続する。このような進捗自体は、当初の計画の通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、2024年度も、児童期から青年期までの弱視児を対象に、見えにくさの理解を含む自己理解の発達の特徴を20答法を用いた質的調査により検討する。 併せて、2024年度は、2023年度の研究成果を学会で発表する他、2025年度から実施する予定の実践研究の準備にも着手する。
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Causes of Carryover |
2024年度使用額が発生した理由は、計画書における研究1と研究2を同時進行していること、調査協力者の数がまだ十分でなく、予定の謝金の歳出が遅れていることなどが明けられる。いずれにせよ。研究1と2については、2024年度までに実施するもので、その都合により、このような事態となった。
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