2023 Fiscal Year Research-status Report
A Learning Support System for Children to Continuously Challenge Issues without a Definitive Answers
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23K02638
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Research Institution | Tokyo University of Information Sciences |
Principal Investigator |
河野 義広 東京情報大学, 総合情報学部, 准教授 (70599456)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 学修フィードバックシステム / 学修成果物共有基盤 / アウトプット主体の学び / ゲーミフィケーション / プログラミング教育 / 地域活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績は、1) 地域の小中学生達が企画・自治運営するまちづくり体験活動「こどものまち」、社会的距離を確保しながらチーム協働でミッションクリアを競う活動「ウォークアドベンチャー」、地域の子ども達や勤労世代、高齢者など、多様な世代が交流しながらプログラミングを学び地域課題の解決を目指す「多世代交流プログラミング教室」における学習設計の再検討および活動の実践、2) 学修活動に対応したフィードバック(FB)システムの改修と評価、3) 上記活動を通じて創出された成果を他者と共有する「学修成果物共有基盤」のプロトタイプ開発の3点である。 1)について、こどものまちでは、職業体験や地域通貨による経済活動があるため、基礎的・汎用的能力の「課題対応」「キャリアプランニング」の育成を目指す学習設計とした。ウォークアドベンチャーでは、チーム協働で問題解決に取り組むため、「ソーシャルスキル」の育成を目指す学習設計とした。多世代交流プログラミング教室では、講義後に複数人でゲームを制作しその成果物を動画で記録した。 2)について、ゲーミフィケーション要素を参考に「能動的な参加」「達成可能な目標設定」を導入した学習設計,「称賛演出」「即時FB設計」「独自性歓迎」「成長可視化」を導入した学修FBシステムを開発した。こどものまち用システムでは、ユーザタイプ分類を用いたお仕事分類・推薦を実現した。ウォークアドベンチャー用システムでは、ゲーマー分類手法のバートルテストによる分類結果と紐付けた振り返り支援を実現した。 3)について、上記活動で創出された成果を他者と共有する学修成果物共有基盤を開発し、他者のアウトプットを自己の学びに活かす学びのエコシステムを提案した。2024年度以降の活動を通じて実運用を進める。 上記の研究成果について、査読付き国際会議2件、査読なし国内口頭発表4件を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、新型コロナ5類移行により全面対面での活動方針とし、2022年度と同様にこどものまちとウォークアドベンチャーを同時開催した。加えて、学修成果物共有基盤の適用先の1つとして、多世代交流プログラミング教室を企画し、参加者数は少なかったものの、小中学生、大学生、大人、高齢者が参加した。 被験者実験に関して、こどものまちとウォークアドベンチャーの学習設計を再検討し、活動内容に応じて基礎的・汎用的能力の「課題対応」「キャリアプランニング」、「ソーシャルスキル」を事前事後でアンケート調査を実施した。こどものまちでの調査では、活動の特性上、子ども達の活動開始と終了のタイミングが決まっておらず、対応のあるデータ数は僅かであったため、事前事後で確実にデータを収集する工夫が必要である。ウォークアドベンチャーでの調査では、4年生以上でソーシャルスキルの下位尺度である「向社会的スキル」の他者への適切な配慮が有意に向上した。加えて、学修データ収集システムに記録された活動回数の増加に伴う主体的行動を評価した。 上記学修活動により創出された学修成果物の蓄積・共有、他の学修者やメンター(地域の大人達や研究協力者など)からの学修フィードバック(FB)を提供するシステム「学修成果物共有基盤」を開発した。具体的には、ゲームや映像作品、地域活動のコツや工夫した点、面白い出来事やハブ人材の紹介などを学びのアウトプットとし、それを簡易な動画形式のコンテンツとして蓄積・発信する仕組みである。適切な学修活動の実践と本システムの活用により、学修成果の記録に加え、他者からのFBを通じた学びの省察、他者の学修成果を起点とする新たな着想や自らの学びへの還元が可能となる。 以上より、学修FBシステムの運用・評価および成果物共有基盤の開発がある程度達成できたことから、本研究の進捗はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、1) こどものまち・ウォークアドベンチャーでの被験者実験、2) 多世代交流プログラミング教室の学修設計と実践、3) 学修成果物共有基盤の実運用と評価について研究を進める。 1)について、こどものまちでは、事前事後アンケートの確実な収集方法を検討した上で、再度被験者実験を実施する。ウォークアドベンチャーでは、ソーシャルスキルの向上が見られたのが4年生以上であったことから、1~3年生の参加者に対する適切な指示内容や高学年以上のサポート体制を検討した上で被験者実験を実施する。 2)について、プログラミング教育だけでなく、eスポーツを活用した協働学習やICT利活用による効果的な学習設計を目指す。具体的には、eスポーツ導入のための学生サポーター養成と子ども達や高齢者との交流機会の創出により、多世代での関係構築やICTスキルの向上を促した上で、地域課題の抽出とその解決を目指すワークショップを企画する。 3)について、学修成果物共有基盤の実運用を開始し、成果物や学びの質的評価を行う。評価項目は、成果物の創出頻度、他者の成果物の参照機会や他者との交流機会、自身の成果物に対する他者からの刺激などを想定する。成果物の創出頻度によりアウトプットに対する意欲を評価する。他者の成果物の参照機会や交流機会では、記事の引用やコメント、いいねの頻度により、他者のアウトプットに対する興味・関心や知識吸収の意欲を評価する。他者からの刺激では、成果物創出時に、他者のアウトプットによる影響の多寡を評価する。上記をもとに、アウトプット主体の学びの好循環に寄与するか評価する。
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Causes of Carryover |
2023年度は、新型コロナ5類移行により出張制限が緩和されたため、国外での国際会議発表加えて、国内での学会出張により旅費交通費を執行できた。システム開発に関する技術相談料については、研究協力者と相談しながら予定通り執行できた。AWSのクラウド開発環境の利用料は、実運用には至っていないため、必要最小限の利用料に留まった。 2024年度は、国外での学会出張に加えて、研究協力者に対する技術相談料、論文校正料やシステムの保守に必要な費用、クラウド環境利用料を計上している。
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Research Products
(6 results)