2023 Fiscal Year Research-status Report
積極的な社会的相互作用のない「つながり」を重視したオンライン学習の効果の検討
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23K02641
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田島 祥 東海大学, スチューデントアチーブメントセンター, 准教授 (60589480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 龍也 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (50247508)
登本 洋子 東京学芸大学, 教育学研究科, 准教授 (00913691)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | オンライン学習 / 社会的相互作用 / ICT / 教育工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の子どもたちは低年齢の段階からICTを活用した学習を行っている。また、学校教育のみならず、生涯学習の観点においても、キャリア形成や自己研鑽のためにメディアを活用した学習は盛んに行われている。本研究では、オンラインで他者とつながりながら学習するスタイルに焦点を当て、その効果を検討することを目的としている。これまで、オンラインでの学習の成果を高める要因の一つとして、教員と学習者間、あるいは学習者同士の社会的相互作用を促進することが指摘されてきた。それに対し本研究では、メディアを活用して行われる、積極的な社会的相互作用が行われないオンライン学習に着目し、学習に対する動機づけや学習成果等にどのように寄与するのかを検討する。 1年目(令和5年度)は、このようなオンライン学習の実態を2つの調査データの分析を通して検討した。小学生・中学生を対象とした、学校でのICTを活用した学習に関する大規模調査の二次分析から、約90%の児童生徒がICTを活用した協働学習を経験しており、約70%がそれをポジティブにとらえている一方で、約30%は先生や友だちに参照されることを否定的にとらえていた。これには学校適応の程度や学業成績が関連することが確認された。 高校生を対象とした調査からは、家庭でSNSやアプリを使って友人等とつながった状態で学習することに関して、互いに教えあったり、不安なところを一緒に確認したり、相手といることで緊張感を感じたりすることが、一人で勉強するよりも集中できる、成果が上がるといったポジティブな効果と関連することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は、本研究が対象とするオンライン学習の実態を検討する計画を立てていた。まずは取得済みの調査データや、データアーカイブにて公開された調査データをもとに検討した。一部、計画時に想定した個人差変数に関する検討には至らなかったが、大規模調査のデータから児童生徒の実態に関する検討を進めることができたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従い、引き続き本研究が対象とするオンライン学習の実態とそれに関連する個人差変数について検討を進める。最新の研究をレビューし、選出された変数についても関連を検討する。
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Causes of Carryover |
取得済み調査データやデータアーカイブにて公開された調査データの分析を優先的に行い、新規の調査は行わなかったため、次年度使用額が生じた。2年目はこの費用を用いて、1年目に未検討だった変数との関連等を検討する調査を行う予定である。
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