2023 Fiscal Year Research-status Report
受検者特性を考慮した多肢選択式非教科・科目型試験の妥当性に関する研究
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23K02676
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Research Institution | The National Center for University Entrance Examinations |
Principal Investigator |
櫻井 裕仁 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (00333625)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 妥当性 / 言語運用力試験 / 数理分析力試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,多肢選択式の非教科・科目型試験の妥当性(測ろうとした能力を測れる試験になっているか)に関して,実データによる検証および統計的分析に基づき,非教科・科目型試験の開発に有用な知見を得ることを目的とする。多肢選択式の非教科・科目型試験として,言語運用力試験,数理分析力試験を取り上げる。 受検者特性を明らかにするため,分析対象とするデータの分布やデータ間の相関関係等に関する分析を行った。ここで対象としたのは,言語運用力・数理分析力試験の得点データ,基本的な能力・資質に関するアンケートの回答データ,センター試験(本試験,追試験)の得点データ(国語,数学I・数学A,数学II・数学B,英語(筆記,リスニング),地理歴史・公民と理科を含む全科目の合計点)である。続いて,多肢選択式の非教科・科目型試験の妥当性の検討に有用な知見を得るための分析を行った。言語運用力・数理分析力試験の問題を,言語系,数理系,言語・数理系の3分野に大別し,試験の合計点・各分野の得点データとセンター試験の得点データとの相関を調べ,2つの試験の間には正の相関が見られた。また,言語運用力・数理分析力試験の得点データとアンケートの回答データとの関係を調べ,アンケートの回答で言語的素養をある程度身につけていると考えている集団は,言語系および言語・数理系分野の得点が高い傾向にある相関関係が見られた。また,数理的素養をある程度身につけていると考えている集団は,数理系および言語・数理系分野の得点が高い傾向にあるという相関関係が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究実績の概要の項で述べたようなデータに関して,受検者特性を明らかにするための分析,および,多肢選択式の非教科・科目型試験の妥当性の検討に有用な知見を得るための分析を行った。研究実績の概要の項で述べた研究目的に関する研究成果が得られており,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度と同様に,今後も本研究課題を進める予定である。すなわち,受検者特性を考慮し,言語運用力・数理分析力試験の妥当性に関する研究を進め,得られた研究成果は,学術論文としてまとめたり各種の研究集会で発表したりする予定である。また,国内外の文献調査や各種の研究集会への参加などを行うことにより,引き続き,本研究に関連する情報収集を行う。
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