2023 Fiscal Year Research-status Report
Development and Promotion of Teaching Materials for Inquiry Learning in Collaboration with Programming Education for Microscale Experiments
Project/Area Number |
23K02764
|
Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
芝原 寛泰 京都教育大学, 名誉教授 (60144408)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | マイクロスケール実験 / 教材開発 / プログラミング学習 / 探究学習 / 中学校理科 / 高校化学 / 小学校理科 / 授業デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は研究期間3年の初年度として研究目的である「マイクロスケール実験のプログラミング教育との連携による探究学習の教材開発と推進」に向けて、教材開発と実践活動に取り組んだ。また前年度からの課題であった研究成果の集大成としての単行本「授業で使えるマイクロスケール実験」(電気書院)の出版に向けて仕上げの作業に取り組んだ。尚、学会発表、論文その他の公表も継続的に行った。 小・中学校の新学習指導要領の改訂に伴う新教科書による実施状況を踏まえ、学校現場での情報収集に基づきマイクロスケール実験の普及に向けて教材実験テーマの設定を行った。新学習指導要領の改訂に伴う「高校化学」による授業の実施も踏まえ、高校化学におけるマイクロスケール実験による教材開発にも着手した。 具体的には、前年度からの継続テーマである「マイクロスケール実験とプログラミング教育の連携」を念頭に取り組んだ。令和3年度から取り組んだテーマであるが、さらに拡張して、小学校理科及び中学校理科さらに高校化学への発展的に活用できる実験テーマを選び開発した。例えば、「数種類の金属間の電位差micro:bitによる測定ー金属のイオン化傾向を実感するマイクロスケール実験」、また「マグネシウムとアルミニウムの酸化還元電位の違いを実感するマイクロスケール実験―備長炭電池を使った模型車の走行」などが主な実験テーマである。いずれもマイクロスケール実験の特徴である個別実験と探究的活動を生かすための様々な工夫を行った。micro:bitを活用した「定量的測定」の可能性を確認することもできた。 研究結果は主に理科教育学会で課題研究発表会等の発表(2件)を行った。本年度において開発した教材実験は3件である。開発教材の一部を用いた実践的活用を目的として、「ひらめき☆ときめきサイエンスで特別講師として参加し,開発教材の実践的検証を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である「マイクロスケール実験のプログラミング教育との連携による探究学習の教材開発と推進」に向けて、教材開発と実践活動に取り組んでいる。特にプログラミング教育との連携に関して、小型のシングルボードコンピュータであるmicro:bitを用いたプログラミング学習の振り返りを兼ねた、マイクロスケール実験の教材開発は、一定の成果をあげている。マイクロスケール実験においては、長年の課題であった定量実験への応用について、見通しをもった研究成果が得られた。以上の研究成果については、理科教育学会等における継続的な発表、公表の形で進めることができている。また、実践活動の成果を、研究テーマの選択、器具の改良等に反映させることについても、概ね達成できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度以降の2年間は、今までの研究成果をまとめることに重点をおく。開発した教材実験については、地域での実験教室、教員研修等の場での実践を重ね、その結果を今後のさらなる教材開発にフィードバックする。すでに予定として小学生対象の実験教室「金属の不思議をさぐろう」(2024年5月、NPO法人かけはし未来)での講師、ひらめき☆ときめきサイエンス(2024年7月、JST主催、四天王寺大学)、岡山県教育研修センターにおける教員研修(2024年10月、岡山県教育委員会)での特別講師等の活動が決まっている。 さらに国内での学会発表(日本理科教育学会等)、可能であれば化学教育関係の国際会議における発表も視野にいれて、研究を推進する。また研究の集大成として、実験マニュアルの冊子化も検討の予定である。
|
Causes of Carryover |
当該年度の残額は約9万円であった。購入した3Dプリンター(消耗品を含む)が予想外に低価格であったこと、また人件費の支出がなかったことによる。学会等による出張も例年の状況に戻ったが、一部、オンラインに開催も継続しており、それに関わる旅費等の支出がおさえられたことも、次年度使用額が増える要因となった。 次年度の使用計画として、学会発表の機会を積極的に増やすこと、特に残りの研究期間2年の内に国際会議での発表が可能になるように、研究を推進させる。また物品についても、実践的検証をより進めるため、計画的な購入を進める。
|
Research Products
(4 results)