2023 Fiscal Year Research-status Report
Development and practice of science communication methods for citizen-driven fox management and coexistence
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23K02781
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 貴子 北海道大学, 大学院教育推進機構, 特任講師 (70773844)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 野生動物と社会 / リスクコミュニケーション / 都市ギツネ / エキノコックス / 餌付け問題 / ベイト散布 / 教材開発 / 科学技術コミュニケーション教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
1【生態調査】自動撮影カメラによる都市ギツネの生態および餌付けの実態を観察・調査した。2023年春から夏、札幌市でキツネによる威嚇等の被害報告が急増したため、随時調査エリアを拡げ現在も遂行中。また、2021年ごろから観察されるようになったアライグマとキツネとの競合関係についても分析中。 2【ベイト散布実験】2021年7月よりエキノコックス駆虫薬入りベイトの散布を上記都市公園にて継続中。2023年1月時点までのエキノコックス感染調査結果によると、同公園でのベイト散布の効果が認められ、継続が必要。 3【ワークショップ】ベイト散布の必要性は一般の認知度が低く、また薬剤使用に対する不安の解消と理解促進が必要であるため、上記公園にて勉強会と野外観察会、ベイト散布体験を組み込んだワークショップを複数回開催した。また、2020年度に作成した教材絵本を使い、プロの俳優による朗読会を開催した。座学では子どもに訴求しない難しい内容でも物語として読み聞かせることで興味喚起する効果をねらった。今後も継続し、同伴の保護者に対してアンケート調査を継続する予定。 4【サイエンスカフェ】2023年度日本リスク学会のシンポジウムとして、都市ギツネにまつわる諸問題の解決の困難さについて「リスク評価」の切り口からサイエンスカフェを開催した。学会イベントではあるが広く市民を対象とした。カフェの記録動画をYoutubeで公開中。 5【教材開発】科学技術コミュニケーション教育の一環として、学生らと都市ギツネにまつわる問題を扱った2つの教材(上記公園を舞台としたRPG型野外ツアーとエキノコックスの生存戦略をボードゲームで再現したもの)を開発した。前者は公園のお祭りで出展し大変好評を得た。後者は2024年3月に試作版ができたばかりのため、改良を加えたのち一般参加者を募りイベントを実施する予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
春から夏に急増した都市ギツネへの被害報告を受けて、急遽調査項目とエリアを拡大したため、当初計画で実施予定としていたインターネットを使った中規模または大規模な市民の自然観調査を後回しにした。緊急性の高い案件を優先させた結果であるため、必要な判断であったと考えている。 教材開発については当初の予定よりも順調に進み、予定よりも多い2つのコンテンツを制作した。制作にあたっては学生に対する科学技術コミュニケーション教育を兼ねており、十二分に機能した。 都市ギツネの生態調査に関しては、自動撮影カメラを設置して3年が経過しようやく分析に耐えるデータがそろいつつある。 情報公開については、協力関係にある都市公園との取り決めにより一部守秘義務があるため、2023年度は学会・論文等による公開ができなかったが、徐々に公開範囲を拡大していく方向である。 以上より、総じておおむね順調に進展している、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1【科学技術コミュニケーション教育と教材開発、実践】まずは開発途中のボードゲームを一旦完成させたのち、一般市民を対象にイベントを開催しテストプレイを行なう。アンケートや聞き取りにより改良点を洗い出し完成させる。また、都市野生動物のリスクコミュニケーション教材開発は学生の教育にも組み込んでいる。5月でメンバーが一新されるため、ディスカッションのうえ新たな切り口から教材開発を試みる。 2【継続事項】都市ギツネの生態調査、エキノコックス駆虫薬入りベイト散布と効果測定、市民向けの勉強会やワークショップ開催は継続して行なう。 3【都市ギツネ生態解析】都市ギツネの行動解析をすすめ、アライグマやヒトとのすみ分けや競合について考察する。 4【自然観調査】2023年度後回しとした自然観調査について、改めて方法と目的を検討し実施する。 5【社会貢献と研究基盤】これまで継続して協力関係にある都市公園と本研究実施者が所属する大学が正式に連携協定を締結する予定である。
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Causes of Carryover |
当初、中規模から大規模な世論調査を予定していたが、より緊急性の高い課題が発生したため予定を変更した。詳しくは、2023年春から夏にかけて都市ギツネによる被害が急増し、それに対応してエリアを拡大して生態調査を開始し、現在も継続中である。この新たな生態調査は、当初予定していた世論調査のために見積もっていた予算よりも現在のところ少ない額で実施可能であるため、次年度に繰り越すこととした。
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