2023 Fiscal Year Research-status Report
認知的バイアス課題に出現する幼児から大学生の推論様式の単一認知システムによる説明
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23K02782
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
伊藤 朋子 山形大学, 地域教育文化学部, 客員研究員 (20975122)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 連言錯誤 / ランダム系列の誤認知 / 認知的バイアス / 発達的研究 / 基準率無視 / サンプルサイズの無視 / 発達段階 / 確率推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
基準率無視,連言錯誤,ランダム系列の誤認知,サンプルサイズの無視等の認知的バイアスが出現する課題を幼児から大人に一括して出題する発達的研究はこれまでに行われていない。本研究では,幼児から大学生にこれらの認知的バイアスが出現する確率課題を出題し,推論様式を分析する発達的研究を行う。これにより,①認知的バイアスは子どもにも出現するのか,②各課題に出現する推論様式は,いずれの発達段階にみられる推論様式であるのか,を明らかにする。 本年度は,過去に作成した小学生にとっても内容が理解できる連言錯誤課題(伊藤, 2014, 2023)を幼児にとっても内容が理解できる課題に改訂したうえで,幼児(年中児),小学2年生,小学5年生を対象に調査を実施した。具体的には,連言錯誤,ランダム系列の誤認知等に関する確率課題を個別面接形式で出題する調査を大学の実験室で実施した。保護者の方には,対象児の生年月日等に関する調査票に回答いただいた。実施人数は,年中児25名,小学2年生27名,小学5年生7名の計59名であった。年中児,小学2年生が多く,小学5年生が少なかった理由は,幼稚園・保育所・認定こども園・子育て支援センター等で配布されている子育て情報誌等で調査参加者を募集したためである。 本格的な分析は,十分なサンプル数を得てからになるが,全体的傾向として,年中児は,連言錯誤課題に対して確率に基づく判断をしていない可能性が示唆された。ランダム系列の誤認知は,年中児にも出現する可能性が示唆された。連言錯誤,ランダム系列の誤認知は,小学2年生に出現する可能性が示唆された。小学5年生に関しては,サンプル数が少ないため,現時点で傾向を述べることはできない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年中児,小学2年生に関して,目標人数のおおむね半数程度まで調査を実施することができた。幼児に個別面接形式で確率課題を出題する際の注意点も明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の調査を,幼児(年中児),小学2年生,小学5年生を対象に引き続き実施する。ただし,小学5年生に関しては,調査参加者の募集方法を再検討する必要がある。 また,確率に基づく判断が難しいことが示唆された幼児に対して,基準率無視課題,サンプルサイズの無視課題等をどのように出題していくか検討する。 加えて,中学生,大学生を対象とした調査,データの分析を実施する。
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Causes of Carryover |
発表した学会の一つが,オンラインで開催されたため,当初の計画よりも旅費がかからなかったためである。次年度以降,対面で開催される学会での発表を計画している。
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