2023 Fiscal Year Research-status Report
河川流域を基盤とした探究型STEAM教材の開発及び実践的検証
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23K02788
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
大鹿 聖公 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50263653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向 平和 愛媛大学, 教育学部, 教授 (20583800)
佐藤 崇之 弘前大学, 教育学部, 准教授 (40403597)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 河川教育 / 水環境 / 自然災害 / 探究プログラム / STEAM教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,児童・生徒にとって身近な水環境である「河川流域」を題材に,河川や水環境に関わる探究的な資質・能力の育成を図る探究型STEAM教材の開発を行い,教材の効果について実践検証することである。 本年は、研究1年目として、主に以下の3点について研究を進めた。 ①河川・水環境に関わる実態調査:河川教育の実態解明を図る目的で、河川教育について主に学習する対象である小・中学生、加えて、河川教育の実践者となるべき教員養成課程の大学生を対象に、河川・水環境についての実態調査を行った。本調査結果から、河川に関する基礎知識は、主に小学校段階で育成されること、河川についての認識は地域によって異なること、自然災害に関わる理解が不十分であることなどである。これらの結果を踏まえて、本研究で開発を目指す教材の方針を明らかにすることができた。 ②河川・水環境に関わる教材の開発:河川やそれらを原因とする自然災害に関する理解を深めるための教材の開発を行った。教材の具体として、河川流域における岩石の浸食・運搬・堆積の仕組みを理解させる教材ならびに、豪雨発生時の河川流域の河川の氾濫状況を理解させる教材、河口部における干潟の理解とその役割について理解させる教材などである。これらの教材により、河川の構造理解や災害についての理解促進を図ることができた。 ③STEM教材の分析:小・中学校段階における、STEM/STEAM教材の分析を行った。これらの分析により、教材の特性や分野・領域についての偏りなどが明らかとなった。また、これらの教材の利用による育成される資質・能力について、明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究初年度ということもあり、研究に関する情報収集や資料分析を中心に研究を進めている。研究分担者と共同で、国内における実態調査を行い、それらの分析から河川教育を推進するための必要な情報収集や結果の考察を行うことができた。これらの結果は、2年目以降に開発を進める教材の方向性を決めるものとして、有効な示唆となった。 STEM/STEAM教材の分析については、国内での事例を中心に進めているところであるが、海外での事例や研究について、さらに収集し、教材の効果や育成されるべき資質・能力について明らかにしていく必要がある。また、紙面情報だけでは不十分なものについては、今後、現地調査などを行うことで、具体的に研究を進めていく必要がある。 本研究の中心課題である教材について、1年目として河川に関わる教材開発を行うことができ、理科の学習に有効であることが明らかとなった。しかしながら、まだ教材の内容が表面的であるため、今後の改良、修正が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年実施した基礎調査に加え、昨今、課題となっている気象を原因とする水災害などを含めた現状調査について実施を行う。この調査結果と昨年の調査結果を踏まえて、開発する教材やプログラムにおいて、児童・生徒が探究すべき事項をより具体的に明らかにすることができるものと思われる。 また、分析を進める既存のSTEM/STEAM教材をさらに情報収集や検討について、実地調査などを行うことで、教材やプログラムにより育成される資質・能力の焦点化を図っていく。このため、国内および海外において具体的にSTEM/STEAMを展開する学校や研究機関への訪問調査を行う予定である。 本研究の中心であるSTEAM教材・STEAMプログラムの開発を進めていく。1年目で開発した教材を基盤として、発展・改良すると同時に、新たな視点での教材開発を進めていく予定である。これらについては、開発でき次第、学校現場などでの試行実践を行い、教材としての有効性やプログラム開発のための基礎データ収集を行う。現在、河川の構造や理解を中心とした教材となっており、それらを踏まえ、児童・生徒が探究的に課題を明らかにすることができる素材やテーマの発掘が必要となっているため、この点について、研究をさらに掘り下げていく予定である。 また、国内外における各種プログラムについての開発状況や実施状況についても、適宜現地取材などを通して、明らかにする予定である。教育機関だけでなく、社会教育施設や環境省、国土交通省が所管する施設なども視野に入れて実施予定である。
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Causes of Carryover |
前年度購入予定の物品について、条件を満たせず、購入を見送った。本年度、新たに条件を見直した上で、購入を予定している。また、調査研究について、日程調整がうまく折り合わず、実施ができなかった。本年度、再度、調査研究の日程調整により、実施を計画している。
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