2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K02793
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
比嘉 俊 琉球大学, 教育学研究科, 准教授 (30780390)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 外来生物 / SDGs / 啓発活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
外来生物の啓発活動に関する論文を収集し,それらを精読した。論文数は24編と少なく,啓発活動の弱さが感じられた。現状としては,活動の場が学校,大学,児童館,公民館,博物館,植物園,城址公園,県庁合同庁と多様であった。対象者は児童,生徒,学生と教育機関で教育を受けている人が殆どで,成人を対象としていた報告は1編のみであった。教科書や学習指導要領に外来生物が明記されており,国民は就学年齢時に学校で外来生物についてある程度は学習し,社会教育で成人への啓発も重要となってくる。形態や教材は多様で,講義,野外調査,観察,解剖が実施されており,多様な方略となっていた。教材も書籍,インターネット,生体,動画,紙芝居,模型,寸劇,カードゲーム多岐に渡っている。一度開発されたブログラムとそれを改善した別のプログラムを確認でき,一度プログラムを作成すれば,使い回しが利くことがわかった。 啓発の成果の一つを学習者の啓発後の様子と捉えると,一番多かったのは「環境保全」で,これは生物多様性への目的と重なっている。次に「知識」でこの知識は外来生物に関するものや進化論に関するものもあった。啓発の課題としては,外来生物が環境へ与える影響についての啓発内容が多いが,人間活動への影響について触れているのは少ない。人間の活動がある限り新たな外来生物が誕生する可能性もあり,外来生物と人間との関係はこれからも続くと考える。人間活動と外来生物はトレードオフの関係の場合もあるだろう。そうとなると,外来生物の啓発は環境保全の視点のみならず,人間活動の視点も不可欠となってくる。人間は文化を維持,発展させるために,多様な活動を今後も続けると思われる。その結果として外来生物が誕生するならば,SDGsの視点を取り入れた方がよいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
沖縄県内の中学校理科教員へ授業における外来生物の実践に関するインタビューを行った。外来生物を扱う単元が中学校理科教育課程の最終章とあって,深く触れる実践は少なかった。この結果はまだ,まとめていない。 沖縄県庁自然保護課の外来生物担当者と喫緊で取り組む外来生物として,学校教育での啓発が必要となるトカゲ(グリーンアノール)について協議し,このトカゲを教材とすることを確認した。さらに,このトカゲを駆除している業者からその分布状況を確認し,胃の内容物から捕食物を確認している研究者からその昆虫類に与える影響の調査を行なっている最中である。 一般市民が参加する外来生物駆除作業の取材を行っている。北部地域の外来植物の刈り取りであったり,那覇南部地域のトカゲの駆除に同行している。なお,トカゲ駆除に関しては市民参加の催しとなっており,駆除業者主催のものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
県内理科教諭への聞き取り調査は済んだ。この結果か外来生物に関する授業実践の大枠を掴み,そこから質問紙を作成し,質問紙調査を行う。量的に沖縄県における外来生物の授業実践について状況を把握すること等をねらいとする。 外来生物のトカゲを主なターゲット種とし,このトカゲに関する自然科学的知見の論文を収集し,これらをまとめる。また,このトカゲが沖縄において,どれくらい分布を拡大しているのか,昆虫類にどのような影響を与えているのかも駆除業者や研究者のデータから環境や生態系への影響を把握し,この影響から授業案を作成する。授業案を基に小学校または中学校での施行授業を行う。この授業の成果をまとめ,授業をブラッシュアップし,次年度以降により質の高い授業実践を行う。授業実践校は近隣の学校もしくは,沖縄県教育委員会が指定しているSDGs指定校にする。 国内の啓発活動を調査したところ24篇と論文による報告は,自然科学系の外来生物の論文に比べたら,圧倒的に少ない。そこで,今後は海外での啓発活動を調べ,国内の活動との比較を行う。
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Causes of Carryover |
量的データを処理する段階までいっておらず,統計用ソフトを購入しなかったため,当該助成金が生じた。 助成金の使用計画としては,研究成果(一部)の印刷代,学会発表の旅費,海外の文献収集,外来生物駆除の取材,教材作成を予定している。
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Research Products
(3 results)