2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of participatory thinking tools to support decision-making and consensus building on scientific, technological and environmental issues
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23K02798
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
福井 智紀 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (00367244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 隆 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (20782163)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 科学教育 / 理科教育 / 環境教育 / STS教育 / 科学技術社会論 / 意思決定 / 合意形成 / 市民参加型手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、科学技術と環境に関する意思決定・合意形成を支援するため、既存のアクティブ・ラーニング手法や参加型手法と思考ツールの有効性を改めて検討したうえで、新たな参加型思考ツールの開発を行うことである。 本研究の目的を達成するために、研究期間を通じて、以下の研究作業に主に取り組む予定である。(1)国内外の先行研究の整理・分析、(2)意思決定・合意形成の過程の再検討、(3)既存の手法・ツールに関する情報収集・分析と活用法の検討、(4)新しい参加型思考ツールの考案、(5)参加型思考ツールを位置づけたプログラムの開発、(6)活用効果の検証・改善。 2023年度は、(1)から(3)までの研究作業を中心としつつ、試験的に(4)以降の研究作業にも取り組んできた。 まず、(1)国内外の先行研究について、広範な情報報集と整理・分析を行い、意思決定・合意形成に関わる研究・実践の到達段階を改めて確認してきた。また、(2)意思決定や合意形成と呼ばれてきた過程における思考や議論の様相をより詳細に検討しながら、いくつかの下位段階に分けて捉え直すことを試みた。これによって、各段階でどのような指導法やツールが有効であるかに関して、今後の構想を進める具体的な示唆を得るようにした。次に、(3)既存の参加型手法、アクティブ・ラーニング手法、思考ツールについて、広範な情報収集と整理・分析を行い、それらの活用可能性を多面的に検討してきた。これらによって、次年度以降の研究作業の基盤となる情報等を、ある程度まで収集・整理分析することができた。併せて、本研究課題に関わる過去の研究や開発教材等について、成果を取りまとめて報告した。(4)以降については、人体の改造に焦点を当ててフューチャーサーチの形式で話し合う理科教材を開発した中で、新たな工夫を取り入れた学習用ワークシートを作成するなど、試験的な研究作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基本的に従いつつ、柔軟に研究作業を進めるよう努めてきた。その結果、今年度に予定していた研究計画は、概ね達成することができたと考える。具体的には、研究実績の概要に記した6段階の研究計画のうち、(1)国内外の先行研究の整理・分析、(2)意思決定・合意形成の過程の再検討、(3)既存の手法・ツールに関する情報収集・分析と活用法の検討、までの研究作業に主に取り組みんだ。さらに、試験的に(4)新しい参加型思考ツールの考案、(5)参加型思考ツールを位置づけたプログラムの開発、(6)活用効果の検証・改善、にも取り組み、あくまで暫定的ではあるが、新たな工夫を取り入れた学習用ワークシートを作成できた。併せて、本研究課題に関わる過去の研究や開発教材等について、成果を取りまとめて報告した。これらにより、次年度以降における研究作業の基盤として、進捗状況としては、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画のうち、(1)国内外の先行研究の整理・分析、(2)意思決定・合意形成の過程の再検討、(3)既存の手法・ツールに関する情報収集・分析と活用法の検討、は継続しつつも、(4)新しい参加型思考ツールの考案などの作業に、重点を移行していく。基本的には研究代表者が中心になって研究作業を遂行していくが、研究分担者は、開発過程での具体的な指導・助言や協力を適宜行う。さらに、学校教諭及び研究代表者が指導している学生・大学院生にも、本人に同意を得たうえで協力を得ていく。 なお、以上で触れた研究計画については、便宜的に(1)~(6)に整理しているものの、必ずしもこの順序には縛られず、進捗状況や研究分担者・研究協力者の状況も鑑み、作業順序を適宜変更するなどして、効率的に研究を実施するようにしたい。
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Causes of Carryover |
おおむね順調に研究作業を遂行してきたが、当初の研究計画に対して柔軟に変更を行った。海外での現地調査も当初は検討したが、条件が整わないと判断して今年度は見送った(次年度以降に改めて検討したい)。また、研究計画の段階では今年度に必要と想定していたものの、次年度以降に購入することにした物品等もある。人件費・謝金を必要とする研究作業も今年度については特に生じなかった。なお、アルバイト等ではなく業務委託したものは「その他」への計上となった。これらにより、一部の金額が未使用となり次年度使用額として生じた。 次年度においては、予定していた研究作業計画に従い、計画的に経費を執行していき、確実な研究実績につなげていきたい。さらに、積極的に学会発表や投稿等を進めるとともに、開発した教材やツール等については、普及活動も進めていきたい。これらにより、確実な研究実績とその公表につなげていく所存である。
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