2023 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of the current state of Japanese education on biological evolution and development of new teaching materials
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23K02819
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
山野井 貴浩 文教大学, 教育学部, 准教授 (40567187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森長 真一 帝京科学大学, 生命環境学部, 准教授 (80568262)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 進化教育 / 自然選択 / 誤概念 / 進化の受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、以下の2つの調査研究に取り組んだ. 1.国際的に利用されている進化の受容と理解の尺度を翻訳し(受容:MATE、GAENE 理解:CINS、CANS)、大学1年生対象の調査を行った.調査は2023年5~12月に、生物系科目を担当する大学教員に依頼して、WEB形式で行った. MATEとCINSを利用した調査1では10大学の学生計447名から、GAENEとCANSを利用した調査2では8大学の学生計462名から回答を得た.「生物」履修の効果を評価するために、「生物基礎」のみを履修した学生と「生物」も履修した学生の比較を行った.その結果、進化の受容については履修の効果は限定的であったが、進化の理解については、いくつかの項目において履修の効果が見られた.一方で、他国の大学生対象の調査結果と比較してみると、両調査に共通して、進化の受容は同程度であったものの、進化の理解は低く、誤概念の保有率が高いことが明らかとなった.項目別に比較すると、進化の受容についても、進化学の信頼性や生物学における進化の重要性の認識は低いことが示唆された. 2.諸外国における自然選択の理解を評価する主要尺度の開発の変遷を明らかにするため、先行レビューを基に、6つの尺度に注目し、分析を行った.その結果、自然選択の理解と誤概念の保有状況の両方を評価する方針は共通しているが、多肢選択式と自由記述式に分かれて尺度開発が進んできたこと、近年は質問文の文脈を考慮する方向に進んでいることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進化の実証性の受容を高める教材開発については今年度進めることができなかったが、進化の理解や受容に関する質問紙調査については、質問紙の翻訳だけでなく、大学生対象の調査を行うことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、以下の4つに取り組む。 (1)大進化に関する質問紙の翻訳および、その質問紙を用いた大学1年生対象の調査 (2)系統樹の読み方の理解に関する質問紙の開発の変遷について先行研究の分析 (3)自然選択に関する教材開発のための準備 (4)市民対象の進化の受容や理解に関する質問紙調査
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Causes of Carryover |
当初の計画では2023年度に進化の実証性の受容を高める教材の開発を開始し、そのための実験機器の購入を予定していた。だが、質問紙調査を優先して行い、実験機器の購入は行わなかったため。今後、実験機器の購入および外部委託の市民対象の質問紙調査の費用として支出する予定である。
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