2023 Fiscal Year Research-status Report
数学科と理科を総合する教材開発と授業実践を重視する教師教育の実証的研究
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23K02820
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
金児 正史 帝京平成大学, 人文社会学部, 教授 (00706963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 理 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (10217325)
後藤 顕一 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50549368)
佐伯 昭彦 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (60167418)
川上 貴 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (90709552)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 数学科と理科を総合する教育 / 化学反応速度 / 教師教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,理科と数学を総合する授業実践に当たり,2023年度は化学反応速度に焦点をあてた教材開発と学習指導案を作成し,日本科学教育学会年会で発表した。その内容は,学校現場で割いていただく時間数としては5時間程度のものになる計画であったため,2時間程度の範囲で実施できると想定して,化学反応速度の実験データを駆使した化学的あるいは数学的に推論する過程に焦点をあてた改訂学習指導案を作成した。改訂学習指導案は,鹿児島県立国分高等学校の化学科教諭と練り上げる時間も確保することができて,実験データの収集も生徒にさせたいとのご意向をいただいた。鹿児島県立国分高等学校で実践予定の授業時間数は,当初作成した学習指導案に近いものになる可能性がある。このほか,鹿児島県立錦江湾高等学校に具体的に実施依頼ができそうな段階まで来ている。授業実践については,北海道旭川市近郊の高等学校2校の可能性も探っている。このように,教材開発と学習指導案の作成,及び実践授業に向けた準備はおおむね当初の予定通りの進捗状況にある。なお,改訂学習指導案を基に練り上げをしていただいた鹿児島県立国分高等学校の化学科教諭との議論はプロトコルを起こして,理科と数学科を総合する教育に対する認識度を図れるように,その一次資料まで作成した。この資料は今後も授業実施校での議論をすべて収集し,理科と数学を総合する教育を担う教師の資質・能力を特定する際に活用する予定である。なお,今後授業実践が見込める学校として,埼玉県等での授業実践を模索し,8校前後の授業実践校を模索する予定にしている。 改訂学習指導案を作成するにあたり,触媒を専門とする鹿児島大学准教授である錦織寿先生にご尽力いただいた。今後の教材開発における多くの研究協力もお願いできることから,2024年度より本研究の研究分担者に加わっていただくことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究実績の概要に示したが,研究申請時当初の予定に沿って研究計画が進んでいる。ただ授業実践までは実施できなかった。本研究の趣旨をご理解いただくための下準備には想定以上に時間と労力が必要で,研究分担者の範囲だけで進捗を図ることができない難しさがある。それでも,少しずつではあるが,学校現場が教科横断の視点で,生徒の学習を進められるようにしようとし始めて,様々な実践事例を模索してこともあり,本研究の趣旨をご理解いただける学校では,もろ手を挙げて受け入れてくれる状況になることもわかってきた。できる限り多くの実践校で授業実践を行い,理科と数学を総合する,教科横断的な授業を実施できる教師の資質・能力を特定できるように,研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の申請時の研究計画に沿って,2024年度も研究を推進していく。そのために,授業実践校の数を増やすことが,2024年度に実現するべき最優先課題である。目標として8校程度の実践を試みるべく,実施見込み校に足を運んで依頼する予定であるが,実施がかなわなかった場合についても,なぜ実施できなかったのかを分析する予定である。このことが,理科と数学を総合する,教科横断の教育実践に向けた,教師の資質・能力の特定につながる可能性が高いと考えているからである。 そのほか,2024年の12月前後に鹿児島県立国分高等学校で授業実践が見込まれるため,研究協力者と協力して授業における生徒と教員の活動をつぶさに捉えるための具体的な役割も明確にしていくことが必要である。また他校での授業実践のために,これまで以上に研究協力者と協働して,実践授業の実現につなげていく。
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Causes of Carryover |
本研究の研究分担者である佐伯昭彦教授は,2023年度に金沢工業大学に転職され,学内の業務に多くの時間を必要としたため,差額が生じている。差額は2024年度に使用する予定でいる。そのほか、土田理先生,川上貴先生,後藤顕一先生にも残額が発生している。2023年度は,土田理先生と錦織寿先生と金児による,教材開発の議論と学習指導案の検討に集中していたことが大きな要因である。2024年度は,すべての研究協力者による対応が必要であるため,残額は減少する見込みである。
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