2023 Fiscal Year Research-status Report
Resolving the psychological dilemma of "wanting to change, but not being able to change" during the VUCA era
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23K02833
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三沢 良 岡山大学, 教育学域, 准教授 (90570820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 尚子 文教大学, 人間科学部, 准教授 (40371695)
有吉 美恵 関西国際大学, 心理学部, 講師 (50826360)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 変化への抵抗 / 組織変革 / 組織学習 / 多次元的態度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,組織の変化に対するメンバーの抵抗を多次元的態度として把握し,その促進・抑制要因を明らかにすることを目的とする。具体的な研究項目は以下の2点である。1.組織における変化への抵抗を多次元的態度としてとらえ,その内容と構造を解明する。2.変化への抵抗を促進・抑制する職場環境と変革プロセスの要因を解明する。3カ年計画の初年度にあたる2023年度は主に以下の研究を行った。 1.組織における変化への抵抗に関する既往知見の整理と理論的枠組みの構築 組織変革や組織学習をテーマとする既往研究を中心に文献調査を実施し,理論的・実証的知見の把握と整理を行った。変化への抵抗に関する個人特性や関連する主要な概念として,変革へのコミットメント,変化レディネス,組織シニシズム,変革型リーダーシップ等を洗い出すとともに,実証研究で用いられている代表的な心理尺度を精査した。こうした知見の整理により,変化への抵抗に関する多次元的態度の基本的な枠組みの構築に至った。 2.変化への抵抗に関する個人特性の実証的検討 変化への抵抗に関する多次元的態度の測定尺度の開発を視野に入れ,文献調査で把握した国外の主要研究で使用されている個人特性の尺度を用いて予備的なデータ収集を行った。具体的には,わが国の就業者を対象にWeb調査を実施し,変化抵抗の個人特性と職務の特徴を表わす課題特性,およびジョブクラフティング等の主体的な職務変革行動との関連性を分析した。 上記のほか,国内の企業組織へのヒアリング調査も実施し,本格的な実証データを得るための研究協力体制や情報収集を行った。また,本研究題目の準備段階で収集済みの調査結果を基に,学術論文の執筆・投稿を行った。2023年度に実施した文献調査とWeb調査による成果は,2024年度の日本心理学会や産業・組織心理学会での研究発表を予定しており,順次,論文投稿も進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変化への抵抗に関する既往知見の文献調査は着実に進み,実証データの収集基盤となる理論的枠組みはほぼ構築することができた。さらに予備的な調査を通じた実証データも収集し,協力体制を整えつつ,企業組織の就業者を対象にした本格的な調査の準備を進められている。以上のことから,本研究の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は当初予定の計画に基づきつつ,本格的な実証データの収集を進める。特に,昨今著しい変化が生じている組織内でのDXの進展やデータサイエンスの活用の問題に焦点をあてつつ,リサーチサイトとする研究協力先の企業組織との調整に注力し,調査計画の遂行をより確実なものとする。あわせて,個別の企業への協力依頼と並行して,尺度開発のための比較的規模の大きなサンプルサイズを確保するため,Web調査の活用も進めていく。
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Causes of Carryover |
文献調査等が円滑に進んだため,規模の大きな調査を先行実施するため,前倒し請求を行いつつ準備を進めていた。しかし,年末から年度末の時期にかけて,研究代表者と分担者のいずれも大学の本務での入試業務等に当初予定よりも大きなエフォートを割くことを余儀なくされ,調査の先行実施を断念した。よって,残額の予算は当初の計画に準じて,次年度の調査実施に使用する予定である。
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Research Products
(14 results)