2023 Fiscal Year Research-status Report
閾値下うつを有する大学生のうつ病発症予防に向けた大学で実施可能な支援システム
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23K02917
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高垣 耕企 広島大学, 保健管理センター, 准教授 (80790584)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 大学生 / 閾値下うつ / 回避 / 行動活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病の診断基準を満たさないが、抑うつ気分や興味や喜びの減退といった抑うつ症状を有する状態は閾値下うつと定義されている。閾値下うつの有病率は30%で、うつ病の有病率よりも高い。大学生は、入学に伴って環境が大きく変化し、抑うつ症状を経験する可能性の高い時期と考えられている。大学生の閾値下うつは、うつ病発症のリスク要因であり、この時期にうつ病を発症すると慢性的な経過をたどり、対人関係の困難や、学業成績の低下、自殺率の増加などの否定的な結果に至ることが多いと指摘されている。したがって、保健管理センターなどの大学機関で早期対応が必要である。そこで、本研究では、閾値下うつを有する大学生の回避行動に着目した。そして、研究1では、閾値下うつを有する大学生と回避行動の関連性を検討することを目的とした。 本年度は、インターネットを利用して全国の大学生1200名に対して調査を実施した。抑うつ症状を測定する質問紙を用いて、1200名の大学生を健康群、閾値下うつ群、うつ病群の3群へと群分けを行った。分類の結果では、閾値下うつを有する大学生を先行研究と同程度の割合で分類することが出来た。そして、健康群、閾値下うつ群、うつ病群を対象として、回避パターン、報酬知覚、抑うつ症状の関連性について検討した。その結果、各群で異なる関係性が示された。本研究の結果から、回避パターン、報酬知覚、抑うつ症状の関連は、抑うつ症状の程度によって異なることが明らかになり、回避を修正するための新たな基礎的知見が示唆された。本年度の結果については、結果を論文化して、現在海外雑誌へ投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた第1回目のインターネット調査を行うことができた。そして、その結果を基に1本論文を投稿している。以上のことから、概ね順調に進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、第1回の調査に参加した大学生を対象として、インターネット調査を行い、縦断的に閾値下うつを有する大学生の行動的な特徴を検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画は概ね順調に進んでいるが、物品費等にあまりが生じた。研究費を次年度に繰り越し、2年目のデータ収集の費用に使用する。また、1年目で明らかになった結果を早い時期に論文としてまとめるために、英文校閲費、掲載料などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)