2023 Fiscal Year Research-status Report
A development of group psychotherapy programs for adult female outpatients with developmental disorders
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23K02921
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
宮岡 佳子 跡見学園女子大学, 心理学部, 教授 (00190736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹治 和世 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (20512619)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 発達障害 / 自閉スペクトラム症 / ADHD / 成人期 / 女性 / カモフラージュ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2023年には、予備研究として成人期発達障害女性の臨床的特徴、ストレスとその対処等をウエブを通じて質問紙調査を行った。対象は、発達障害と診断されて治療中の成人女性(18~59歳)150名である。対象者の発達障害の具体的病名の内訳は、自閉スペクトラム症(ASD)33.3%、注意欠如多動症(ADHD)42.2%であった。この中には両方が併存している者も含まれる。その他は1.3%と少なかった。具体的病名を知らない者が33.3%もおり、疾病教育の重要性が示唆された。 発達障害者は、周囲に症状や障害特性がわからないようにふるまうカモフラージュ(camouflaging)を行うことがあり、男性よりも女性に多いとされる。カモフラージュは周囲との摩擦を回避するための対処行動ともとらえられる。そこでカモフラージュに注目して調査を行った。対象者のカモフラージュ傾向を調べ、カモフラージュ傾向を高群と低群にわけて検討した。自己の切り替えに関して、高群では、無意識的にも意識的にも自己を切り替える傾向が強かった。高群のほうが、うつ症状が強く、併存する精神疾患の数が多く、デイケアに通所している者が多かった。カモフラージュは精神状態の悪さとの関連が示された。カモフラージュが対処行動として本人の精神状態の改善に役立っているのか、あるいは状態が悪いほどカモフラージュをするのかなど今後考察を進めたい。 今回のアンケートでは、健常女性(精神科通院歴のない者)150名も対照群として調査している。今後対照群との比較を通して、成人期発達障害女性の困難とその対処について分析を続ける予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウエブアンケートを行うことができ、今後の集団療法プログラム作成のために、成人期発達障害女性が抱える問題点を抽出することができた。具体的な困難とそれへの対処行動についても調査をしており、2024年度も引き続き分析を続ける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に行ったウエブアンケートのデータを基にさらなる分析を行う予定である。また、女子大学生を対象とした集団心理教育プログラムを作成し、実施する予定である。最終的な目標である、成人期発達障害女性の通院集団療法プログラムの開発の予備的研究として行う。
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Causes of Carryover |
2024年度に実施する集団療法プログラムについても、2023年度から少しずつ準備していく予定であった。しかし、2023年度はウエブアンケートの実施や分析に時間がかかり、十分な準備ができなかった。このため集団療法に実施に関わる書籍、消耗品などの購入を行わなかったたため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)