2023 Fiscal Year Research-status Report
マインドフルネスによる認知症予防プログラムの開発と脳・生理指標を用いた効果検証
Project/Area Number |
23K02939
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
村上 裕樹 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (40600325)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | マインドフルネス / 認知症 / 生理指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレス低減効果のあるマインドフルネスでは,さまざまなトレーニングが用いられているが,その中でも周囲の音に意識を置く教示や,呼吸への注目やボディースキャン,自分の動作への注目といった身体感覚に意識を置く教示が多く用いられている。これらの教示は他の心理療法にも含まれており,ひいてはストレスの低減をもたらす重要な要素と考えられる。しかしながら,これまでさまざまなトレーニング法における効果の違いについて,その精神生理学的メカニズムを検討した例は限られており,未解明な点が多く残されている。そこで2023年度は,マインドフルネスの基本的なトレーニングである周囲の事物や自分の身体感覚に注意を向ける操作を行い,その際の生理指標を測定することで,マインドフルネスや他の心理療法にも共通する作用機序を解明することを目的として実験を実施した。 参加者を呼吸に意識を置く群,換気扇の音に注意を向ける群,特別な対処を行わない群に分けて実験を実施した。初めにベースラインとして10分間安静にしてもらい,次に計算課題を5分間実施した。その後,15分間安静にしている間に各条件の操作を実施してもらった。最後に,すべての群で10分間安静にしてもらった。各測定区間の後に主観指標を測定し,ベースラインの後,注意操作の後,安静後に唾液を採取した。 その結果,室内の音に意識を向けたり,自分の呼吸に意識を向けることで,ネガティブ感情やストレス感が低下することが明らかとなった。しかしながら,唾液中のコルチゾール値は,自分の呼吸に意識を向けた際にのみ低下した。呼吸に意識を向けることで,15分間という短時間でもストレスホルモンを抑制する効果があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外的な事物である室内の音に意識を向ける操作と,自分の身体に意識を向ける操作を分けて実施し,ストレスホルモンに及ぼす影響の違いを検討することができた。また,その研究成果を学会で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
マインドフルネス傾向を測定する質問紙(5因子マインドフルネス尺度)と認知機能や生理指標の関連性について検討する。
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Causes of Carryover |
PCの購入を先送りしたため。
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