2023 Fiscal Year Research-status Report
機械学習を用いた児童青年期の強迫症患者における認知行動療法の効果予測因子の同定
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23K02956
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
磯部 祐子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (80970483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 好幸 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 教授 (50386843)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 強迫症 / fMRI / 認知行動療法 / 治療効果予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は被験者をリクルートし、症状評価、MRI検査、認知機能検査を実施した。 近年、認知行動療法の治療効果予測では、MultiVariate Pattern Analysis (MVPA)による予測精度が高いことが報告されているため、今年度はMVPAを使用し強迫観念・強迫行為の評価スケールであるCY-BOCS得点の改善量に関連する脳部位を抽出することから開始した。 既存サンプルの中で、千葉大学子どものこころの発達教育研究センター、医学部附属病院認知行動療法センター、千葉大学墨田サテライトキャンパス認知行動カウンセリング室で認知行動療法を受けた7歳~17歳の強迫症の児童27例のうち、除外基準に該当する7例を除いた20例を対象に解析を行った。 rsfMRIデータの解析にはCONN toolboxを使用し、MVPAを行い、治療効果と関連する部位を抽出した。そしてその部位をseedに設定し、治療反応に応答する安静時脳機能結合を探索した。また、従属変数をCY-BOCS得点の改善量、独立変数を抽出された安静時脳機能結合としてロジスティック回帰分析を行い、その有用性を確認した。 その結果、CY-BOCSの改善量と関連する部位として右前頭極と左中側頭回が抽出された。また、右前頭極をseedとした場合、デフォルトモードネットワークと視覚ネットワークに関連する安静時脳機能結合が抽出された。ロジスティック回帰分析では抽出された安静時脳機能結合の1つが治療反応を予測した(OR = 1.06, 95% CI: 1.003 - 1.12, p = 0.04)。 以上のことから治療前のデフォルトモードネットワークと視覚ネットワークの安静時脳機能結合は、児童青年期強迫症の認知行動療法に対する治療反応を予測する可能性があることが示唆された。一般化可能性を向上させるため、今後症例数を増やしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
強迫症の児童のリクルート及びデータ収集がやや遅れているが、今までに集めたデータの整理、解析を行いResting-state functional MRI predicts response to cognitive behavioral therapy in pediatric obsessive-compulsive disorderというテーマで国際会議でポスター発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
強迫症の児童と健常児のリクルート、症状評価、MRI検査、認知機能検査、認知行動療法を引き続き行う。特に強迫症のリクルートに関しては精神科医のサポートの下、より強化して行っていく。 前年度までに得られた各種MRI画像と心理指標や治療効果との関連性を調べるためのデータ整理を行うとともに、集積したデータを用いて解析を進め、論文の執筆を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究協力者謝金と研究補助員謝金の低減が可能であったため、次年度使用額が生じた。今後画像解析を高速化するため解析装置の購入を行う。また、研究成果を学会で発表するための旅費と学会登録費、英文校閲費、論文掲載料として使用する予定である。
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