2023 Fiscal Year Research-status Report
日本における高葛藤離婚事例への支援・介入プログラムの適用可能性に関する検討
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23K02975
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
曽山 いづみ 神戸女子大学, 心理学部, 助教 (20794316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直原 康光 富山大学, 学術研究部人文科学系, 講師 (80909705)
大西 真美 杏林大学, 保健学部, 講師 (90758020)
大瀧 玲子 東京都立大学, 人文科学研究科, 助教 (20838346)
山田 哲子 立教大学, 現代心理学部, 教授 (70792373)
福丸 由佳 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (10334567)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 離婚 / 高葛藤 / 心理教育 / 心理支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、国内外の高葛藤離婚事例に対する支援・介入プログラムの概観を行いつつ、日本国内における高葛藤離婚事例の特徴や、その支援に対する課題について専門家・支援者を対象にインタビュー調査を行う計画であった。 研究を始めるにあたって、そもそも「高葛藤」とはどのような状況を指すのか研究グループ間で共有・検討を行った。先行研究を改めて整理した結果、日本においても海外においても「高葛藤」とは何か、統一された明解な定義はないことが明らかになった。研究開始にあたっては「高葛藤」の定義を行うことが重要であると考え、まず「高葛藤の定義」についての先行研究の概観を行った。その研究成果を第6回日本離婚・再婚家族と子ども研究学会ラウンドテーブルで発表した。ラウンドテーブルには、高葛藤事例にかかわる会員が多く参加し、フロアとのディスカッションの中で、専門家間でも当事者間でも「高葛藤」という言葉が多く使われる一方で、「高葛藤」という言葉で意味するところが人によって違っていたり、元配偶者との接触を避けるためにあえて「高葛藤」という言葉を用いられているように思われる事例もあったりすること、専門家・支援者間でも「高葛藤」という言葉をどのように受け止めるべきか迷いや悩みがあることが共有された。ラウンドテーブルのディスカッションを経て、現在高葛藤の定義についてのレビュー論文を執筆中である。 支援・介入プログラムとしては、PACTプログラム、№ Kids In The Middleプログラム、Families Transitions Guideプログラムの重要ポイントをまとめ、概観を行った。個別介入ではなくグループで介入を行うことが重視され、高葛藤事例に対応するからこそ厳密に枠組みが定められていることが明らかになった。今後は、他プログラムも概観しつつ、それらの効果と日本への導入可能性について検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始にあたって「高葛藤の定義」について改めて検討を行う必要性が生じ、その定義の検討を丁寧に行ったところ、2023年度に計画していた専門家・支援者へのインタビュー調査の開始が遅れている状況である。しかし、「そもそも「高葛藤」とはどういう状況なのか」「高葛藤をどう定義するか」という研究の根幹ともいえる疑問について、先行研究を概観し、その成果を学会のラウンドテーブルで検討できたことは大きな成果であった。日本における「高葛藤」という言葉の使われ方について、専門家・支援者である会員たちとディスカッションを行い、その言葉に含まれる多義性を確認し、「高葛藤」という一言で終わらせずにその内実を丁寧に探究していくことの重要性を共有することができた。また、学会参加・発表を通して、本研究課題の意義を知ってもらうことができ、今後の研究への協力を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は高葛藤の定義について、先行研究を概観し、レビュー論文を執筆中である。レビュー論文の執筆が完了次第、支援・介入プログラムの概観を進めていく。 また、日本における支援者・専門家を対象としたインタビュー調査は準備・開始ともに遅れているが、現在倫理申請を行っているところである。倫理申請が通り次第、正式に研究協力依頼を行い、インタビュー調査を進めていく。夏休み期間を利用してインタビュー調査を推進していく予定である。 2024年度は支援・介入プログラムの先行研究概観と、日本における高葛藤事例の特徴・課題に関するインタビュー調査(専門家・支援者対象)を通して、を中心に行いつつ、それらの知見を通して日本における高葛藤離婚事例に対する支援・介入のあり方についても考察していく。
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Causes of Carryover |
2023年度実施予定であったインタビュー調査の開始が遅れているため、それに伴う謝金や人件費の執行が遅れている状況である。もともとインタビュー調査は2023年度~2024年度にかけて実施予定であったが、それを2024年度に実施する予定である。 2024年度は海外視察を予定しており、そのために旅費を多く計上していた。海外視察の時期はまだ検討中であるが、2024年度末か、2025年度夏の視察を行うべく計画している。
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Research Products
(1 results)