2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of behavior modification approach using cognitive behavioral therapy for patients with higher brain dysfunction
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23K02986
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Research Institution | Osaka Kawasaki Rehabilitation University |
Principal Investigator |
大嶋 伸雄 大阪河崎リハビリテーション大学, リハビリテーション学部, 教授 (30315709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝治 金城大学, 医療健康学部, 教授 (90179226)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高次脳機能障害 / 複線径路・等至性モデル / カウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は脳卒中および頭部外傷による高次脳機能障害で明確な注意障害,視空間認知障害,記憶障害,遂行機能障害,および,社会行動障害などを呈する入院および外来患者に対し,認知行動療法を基盤としたカウンセリングと活動を効果的に配置した訓練を実施し,その効果を質的・量的に検証することにより高次脳機能障害者に対する心理的介入機序,および,介入手順の仕組みを明らかにすることを目的とする.最終的には,これまで適切な心理的介入のプロトコールが存在しなかった高次脳機能障害に対し,リハビリテーションにおける明確な根拠に基づいた心理的アプローチの指針(基本マニュアル)を提示することを目指している. 高次脳機能障害に対する検査・評価は多岐に渡るが,最近とくに検査で症状を数値化し,状態の変化をより明確にするための試みなどが行われている.しかしながら,こうした検査の類いで患者自身の心理的葛藤や障害に対する”気づき”といった質的範囲にまで関与できている例は少ない.本研究では患者自身による障害への”気づき”と”代償的行為”について焦点化し「治すための訓練」から「できるための行動プログラム」を提案する事にある.そのためには従来の介入指針に加えて,行動療法や認知療法(カウンセリング含む)※1をベースに,患者心理を捉えながら”障害の気づき”を促進させ”代償行為”に繋がる活動を示唆することにより,症状を踏まえながらの生活行為の改善を推進させる事を目指している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023度の研究目的は、脳血管障害および頭部外傷による高次脳機能障害者に対し,認知行動療法を基盤とするカウンセリングと活動を用いた技法がどのような臨床的改善効果をもたらすのか,その量的・質的変化を的確に把握すること.とくに患者自身の障害への気づきが生活面での機能改善のための指標となる根拠と方向性を明らかにする事であった. 研究初年度である2023年は,研究対象施設2カ所において,高次脳機能障害(注意障害,視空間認知障害,記憶障害,遂行機能障害,社会行動障害)患者に対する認知行動療法を基盤としたカウンセリングと活動のための基本マニュアル(以下,基本マニュアル)を作成した(第一研究). 1)研究協力施設である河崎病院リハビリテーション科,および横浜総合病院リハビリテーション科においてて,合計23名の高次脳機能障害患者に対するインタビューを行い、TEM(複線経路・等至性モデル)を作成した.(7月から12月::ナラティブ・インタビューおよび質的分析担当者:大嶋) 2)介入結果のデータ分析を行い,その結果を受けて「カウンセリング用基本マニュアル」を作成した.(担当者:大嶋,鈴木)
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は第二研究として,「カウンセリング用基本マニュアル」による高次脳機能障害(注意障害,視空間認知障害,記憶障害,遂行機能障害,社会行動障害)患者へのカウンセリング介入を2つの医療施設・外来部門において実施する. 1)まず先に,2つの医療施設において研究に参加する作業療法士(OTR)9名に対するCBTとカウンセリング研修,および基本マニュアルについての講義と演習を行う.(6月から8月の2週間を予定.担当者:大嶋,鈴木) 2)2施設ではそれぞれ約30名の外来患者に対し、カウンセリングと活動コンサルテーションを中心とした介入を実施する.6週間の介入期間(介入あり,評価あり)と同じく6週間の観察期間(介入なし,評価あり)を設けて,計12週間のクロスオーバー研究を行う.(9月から2025年3月の予定.介入全体の管理者:大嶋,鈴木)
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Causes of Carryover |
当初、3カ所の病院でデータ収集を予定していたが、諸事情により2箇所の病院での実施となった。しかしながら、症例数は当初見込みとほぼ変わりなく、結果的に、研究全体の進捗についてとくに支障はない。
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