2023 Fiscal Year Research-status Report
子ども・保護者・教師が共に学ぶいじめ予防に特化したSELプログラムの開発と検証
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23K02988
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
杉本 希映 目白大学, 心理学部, 教授 (90508045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 郁子 都留文科大学, 文学部, 教授 (60586808)
飯田 順子 筑波大学, 人間系, 准教授 (90383463)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | いじめ / 予防プログラム / 保護者 / 教師 / 小学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、第一に子どもと保護者・教師の社会情動的スキル、いじめ傾向との関連を明らかにするとともに、国内外の知見を収集し、プログラムの内容を確定する(研究Ⅰ・Ⅱ)。第二に、確定したプログラム内容により教材を作成し、アプリによるシステムの構築を図る(研究Ⅲ)。第三に、開発したプログラムとシステムの効果検証を行う(研究Ⅳ)ことを目的としている。 今年度は、研究Ⅰの保護者の社会情動的スキルと子どものいじめの関連の検討を行った。小学1~6年生の保護者624名(各学年100名、父親母親比半々)を対象に、オンライン調査を実施した。具体的には,SESが内在化・外在化行動,いじめ加害行動にどのように影響を与えているかを保護者評定により明らかにすることを目的とした。調査内容は、目標の達成:日本語版Short Grit(Grit-S)尺度(西川他,2015)、感情のコントロール:日本語版Mindful Attention Awareness Scale(藤野他,2015)、他者との協働:日本語版Ten Item Personality Inventory(小塩他,2012)、保護者評定による子どもの社会情動的スキル:グロースアセスメント(渡辺他,2022) 、保護者評定による子どもの社会的行動(立元他,2011)、子どものいじめ被害・加害経験(岡安・高山,2000)であった。そのデータにより、保護者評定による子どものSESを測定する尺度の因子構造を確認し、さらに、本尺度の信頼性の確認と子どもの性差と発達による差により妥当性検討を行った。そのSES尺度と,子どもの内在化・外在化問題といじめ加害行動との関連を明らかにした。これらの結果から,小学生においてSESをどのように育成していく必要があるのかを考察した。この結果は、目白大学心理学研究に投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画は、概ね、順調に進展している。計画していた、保護者に対するアンケート調査を実施し、その結果を論文としてまとめることができた。また、トラウマ・センシティブ・マインドフルネスプログラムと.b(子ども向けマインドフルネスプログラム)の研修を受講し、プログラム開発に必要な、マインドフルネスの基礎知識とスキルを習得することができた。 教師に対するアンケート調査の実施を計画していたが、この調査は、内容を見直し、量的な調査ではなく、質的な調査に変更することが妥当と考えられたため、保留とし、来年度以降に実施することとした。 また、研究テーマの情報の収集と研究結果の発表のために、海外学会への参加を予定していたが、海外情勢等を鑑み、来年度以降に参加することとした。 これらの変更はあったが、プログラム開発に向けた基礎的な知見を、概ね得ることができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2024年度に【研究Ⅱ】いじめ予防に必要な社会情動的スキルの選定と妥当性検討として、国内外のSELの実践研究の結果の収集、数名の教員へのインタビュー調査を実施する。研究Ⅰと研究Ⅱの結果を踏まえ、プログラムの内容を選定する。 2025年度【研究Ⅲ】プログラムの教材開発として、研究Ⅰ・Ⅱで選定したプログラムの内容に基づき、子ども・保護者・教師が使用できるアプリとシステムを開発する。子ども、保護者、教員数名に対し、実際に使用してもらい、インタビュー調査により、実施可能性、使用感等を明らかにし、プログラムを修正していく。 2026年度に【研究Ⅳ】いじめ予防プログラムの効果検証として、研究Ⅲで開発したプログラムを実施し、子どもと保護者にはアンケート調査、教師にはインタビュー調査により効果を検討することを予定している。
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Causes of Carryover |
研究成果発表と研究テーマの情報収集のために海外学会に参加を予定していたが、海外情勢を鑑み、来年度以降に見合わせることとした。 また、トラウマ・センシティブ・マインドフルネスプログラムは、今年度に受講したが修了が次年度の5月になるため、支払いも次年度となった。 そのため、旅費と研修費して計上していた額が、次年度への繰り越しとなった。
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