2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of the visual system as a spatial information processing system involving somatosensory processes
Project/Area Number |
23K03004
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
繁桝 博昭 高知工科大学, 情報学群, 教授 (90447855)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | fMRI / MVPA / VR / HMD / 空間知覚 / 体性感覚 / 多感覚統合 / 把持運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
fMRI研究では,視覚入力がなく,把持運動のみで知覚した棒状の物体の方位を視覚皮質の各領野の脳活動データから推定し,その正答率を指標として各領野の機能について検討した。特に,把持運動では,運動計画,触覚,自己受容感覚,ワーキングメモリなどの複数の要因が脳活動パターンの違いとして現れると考えられるため,これらの要因を分けて検討するための条件を設定し実験を行った。分析の結果,V3野では,背側側のV3dは把持運動における力触覚フィードバックを統合する処理,腹側側のV3vは不足している視覚情報をイメージする処理に関連することが示唆された。このことから,同じV3野内でも体性感覚や運動出力のフィードバック情報による視覚野の処理は,腹側,背側で機能的に違いがあり,上下視野で機能が非対称であることを示した。 また,凸面に触れたときの曲率の判断を繰り返すことにより,視覚による曲率の判断や脳活動に変化が生じるかについて心理物理実験及びfMRI実験で検討するため,予備実験を行った。 VRを用いた研究では,物体の太さの判断を行うとき,触覚刺激と視覚刺激の太さの情報が異なる場合にそれらがどのように統合され知覚されるかについて検討を行った。特に,物体までの距離によって各感覚モダリティの情報の重み付けが変化するかについて検討した。実験の結果,視覚情報から太さを判断するときは,距離によって触覚情報の重み付けは変化したが,視覚と触覚のうちどちらのほうが太いかという相対的関係に依存して距離による影響が異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画していたfMRIとVRを用いた研究(体性感覚による対象の3次元情報が視覚野に及ぼす影響の検討,体性感覚情報の知覚経験が視覚刺激の3次元知覚に及ぼす影響,視覚刺激による物体の知覚に体性感覚情報が及ぼす影響の検討)をそれぞれ進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,令和5年度において予備実験を進めてきた,体性感覚情報の知覚経験が視覚刺激の3次元知覚に及ぼす影響についての実験を中心に検討を行う。またVR上で自己身体を変調させ,そのときに空間知覚に及ぼす影響についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
円安によるオンラインジャーナルの論文投稿料の高騰化のため,前倒しの支払い請求を余裕を持った金額で行ったが,2万円強ほど残額が生じた。次年度に実験参加者謝金として使用する。
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