2023 Fiscal Year Research-status Report
非アルキメデス幾何とトロピカル幾何,代数・数論力学系
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23K03041
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川口 周 同志社大学, 理工学部, 教授 (20324600)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 非アルキメデス幾何 / トロピカル幾何 / 解析的捩率 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数多様体は多項式の共通零点で表される図形である.代数多様体の係数が非アルキメデス付値体のとき,付随する解析空間(Berkovich解析空間)を考えることができる.この解析空間には多面体的多様体(トロピカル多様体)が埋め込まれており,もとの代数多様体よりも単純ではあるが重要な情報を保持していると考えられる.山木壱彦氏との以前の研究で,代数多様体の因子に付随する線形系が作るトロピカル化がいつ忠実になるかを調べた. 今年度は,山木壱彦氏と,アベール多様体の場合の忠実トロピカル化の研究を進めた.複素数体上のn次元アベール多様体の場合は,正の直線束の偏極タイプを (d1, ..., dn) と表したとき,d1が3以上ならば直線束は非常に豊富になる.このトロピカル多様体の場合として,トロピカルアベール多様体上の直線束を考え,直線束の偏極タイプを (d1, ..., dn)とするとき,nにのみよる定数Cが存在してd1がC以上ならば直線束の切断で,トロピカルアベール多様体を忠実埋め込みできるかを調べた.また,トロピカルテータ関数のテータ関数への持ち上げを考え,非アルキメデス付値体上のアベール多様体のスケルトンが,アベール多様体の正の直線束の切断で,忠実トロピカル化できるかについて研究を進めた.また,吉川謙一氏とEisenstein K3曲面に付随する解析的捩率とEisenstein K3曲面のモジュライ空間上の保型形式についての研究を進め,Singapore大学での研究集会で発表する機会を頂いた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は,学科教務主任を務め,研究時間を確保するのが難しかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
同じ分野の研究者と議論し,研究時間を確保して,研究を進めたい.
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Causes of Carryover |
2024年9月に国際研究集会を開催し,海外からの研究者を招聘して,研究を進める.そのために,2023年度分を使用する.9月の国際研究集会の,海外からの招聘研究者の国内滞在費として使用する計画である.
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