2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K03054
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
早坂 太 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (20409460)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 整閉包 / 加群 / 直既約 / 随伴イデアル / イデアル冪 / 素因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2次元正則局所環上の直既約整閉加群に付随する行列式イデアルの特徴付けに向けて、位数4の整閉単項式イデアルに付随する階数4の整閉加群の計算を行った。これまでの研究で、階数2と階数3の直既約整閉加群に付随する行列式イデアルの特徴付けが得られていたが、これらの成果をKodiyalam氏との共著論文2編に纏め、出版・公表した。階数4以上の場合の特徴付けで最初に問題となるのが、位数2の単純整閉イデアル二つの積の形をした位数4の整閉イデアルに付随する階数4の整閉加群の存在・非存在である。この問題に対し、位数4の整閉単項式イデアルで、階数4の直既約整閉加群の行列式イデアルになり得ないイデアルのクラスを見出した。 この計算の過程で、新たな課題・研究の方向が見つかった。上述の通り、階数と位数が等しい直既約整閉加群に付随する行列式イデアルの特徴付けが階数2と階数3の場合に得られていたが、階数と位数が等しい(直既約とは限らない)整閉加群を分類することが可能ではないかとの着想に至り、この方向の研究に着手した。単項式イデアルの場合の計算を解析し、随伴イデアルに着目することで、階数と位数が2の整閉加群の分類が完成しつつある。 イデアルの整閉包研究に関連して、イデアル冪の素因子の挙動に関する研究も行った。イデアル冪の整閉包の素因子の挙動と異なり、イデアルの通常冪の素因子の挙動は冪が小さい部分では単調とは限らない。今村氏との共同研究で、この挙動に関する古典的なRatliffの問題への部分的解答を与えた。この成果は今村氏との共著論文として纏め、専門誌に投稿・審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の課題であった位数4の整閉単項式イデアルの場合の計算で期待していた通りの結果が得られた。この計算過程で得られた新たな課題「階数と位数が等しい整閉加群の分類」に着手し、階数2の場合に分類が完成しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
階数4の直既約整閉加群に付随する行列式イデアルの特徴付けに向けて、引き続き単項式イデアルの場合の計算を推進する。新たに見つかった課題「整閉加群の分類」にも注力することで、まずは階数と位数が2の整閉加群の分類を完成させる。
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Causes of Carryover |
延長した研究費を優先的に旅費使用したため次年度使用が生じた。これは翌年度の旅費として使用する計画である。
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