2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of structures of multiple zeta values over function fields
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23K03073
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三柴 善範 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70737725)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 / 関数体 / 正標数 / tモチーフ / 数論 / 周期 / 多重ガンマ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,正標数の関数体における周期について以下の研究を行った. (1) これまでのChieh-Yu Chang氏とYen-Tsung Chen氏との共同研究により,無限進多重ゼータ値が張る空間の基底を決定するという結果が得られていた(Thakurの基底予想の解決).本年度は本結果をまとめた論文の改訂作業を行い,論文が雑誌に掲載された.本結果の系として,固定した重さを持つ無限進多重ゼータ値が張る空間の次元を決定することができる(Toddの次元予想の解決).また,関数体の有限素点vに対して,固定した重さを持つv進多重ゼータ値が張る空間の次元の上からの評価も得ることができる.後者の証明には,Chang氏とChen氏との過去の共同研究で得られた,無限進多重ゼータ値が張る空間からv進多重ゼータ値が張る空間への自然な準同型写像の存在性を用いる. (2) v進多重ゼータ値に対して,生成元の探索や次元の下からの評価についての考察を行った.無限進の方で得られている具体的なアルゴリズムを詳しく解析することで,v進の方に応用できないかと考えているが,実現には至らなかった. (3) 正標数における幾何的ガンマ関数の一般化である幾何的多重ガンマ関数をChang氏とChen氏と共同で考案し,その性質を調べた.特に,多重でない幾何的ガンマ関数に対して成り立ついくつかの関数等式が,幾何的多重ガンマ関数に対しても成り立つことを示した.また,幾何的多重ガンマ関数の計算過程においてDrinfeld加群が現れる現象を発見した.さらに幾何的多重ガンマ関数の特殊値の周期的な解釈や,数論的多重ガンマ関数の適切な定義についても議論を重ねた.これらはまだまとまった結果にはなっていないので,引き続き研究を行っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正標数における無限進多重ゼータ値が張る空間の基底を決定した論文の改訂作業を行い,論文が雑誌に掲載されたことは大きな進展である.しかし,それ以外の部分については議論の途中であり,まとまった結果とはなっていないので本区分とした.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,v進多重ゼータ値の生成元の探索および次元の下からの評価に取り組む.正標数の多重ゼータ値はCarlitz多重ポリログの値として実現できるが,Carlitz多重ポリログまで空間を広げることで議論しやすくなるので,その方面からも考察を行っていく.また,正標数の多重ガンマ関数についても引き続きChang氏およびChen氏と議論を行う.特に,多重でない場合に成り立っていた関数等式の多重化を完成させる.いずれの研究においても,計算機を用いた数値実験を行っていく予定である.また,これまでに用いていたプログラムを改良し,より広い範囲の対象を扱えるようにする.
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Research Products
(6 results)