2023 Fiscal Year Research-status Report
ホモロジー的ミラー対称性のホモトピー代数的手法による実現
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23K03084
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
梶浦 宏成 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30447891)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | ホモトピー代数 / ミラー対称性 / 三角圏 / トーリック多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
複素射影直線のホモロジー的ミラー対称性について研究を行った。複素多様体側がトーリック多様体のときのホモロジー的ミラー対称性として、シンプレクティック多様体側では深谷・ザイデル圏を考える定式化がある。一方、Strominger-Yau-Zaslow (SYZ)によるミラー対称なトーラス束の構成をもとにしたホモロジー的ミラー対称性として、シンプレクティック多様体側ではモースホモトピーの圏を考える定式化がある。こちらの定式化では現在トーリック多様体が複素射影空間の場合、ヒルツブルグ曲面の場合、トーリックファノ曲面の場合などにおいてホモロジー的ミラー対称性が肯定的に議論されている。これらの先行研究では、トーリック多様体の連接層の導来圏のよい生成系として強例外的生成系をとり、対応する対象から成るモースホモトピーの圏を議論する。一般にはモースホモトピーの圏はA∞圏の構造を持つが、これらの対象に制限すると高次の積構造はすべて消え、圏の構造は非常に簡単なものとなっている。今回はトーリック多様体が複素射影直線という最も簡単な状況において、射影直線上のすべての直線束に対応する対象から成るシンプレクティック多様体側の圏のA∞構造を構成した。このA∞圏は本質的にはモースホモトピーの圏と等価でなものであるが、一般の高次積構造をすべて正確に定義するために、深谷圏のある種の拡張として定式化した。つまり、射影直線のSYZミラーは境界のない円環(境界でシンプレクティック形式が発散している)であり、そのようなシンプレクティック多様体上の深谷圏と呼ばれるべきものである。これを一般の場合に定式化することはしていないが、その具体例を与えていることになる。以上については今後論文としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はよく進展した。ただし論文にまとめる時間はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究時間が確保できれば順調に研究が推進することが期待できる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額はほぼ0パーセントであり、順調である。
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