2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K03090
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安井 弘一 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (70547009)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | トポロジー / 4次元多様体 / 微分構造 / 種数関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は4次元多様体の微分構造のふるまいやその結び目との関係を明らかにすることである. 2023年度の主な研究成果は, 種数関数という4次元多様体の微分同相不変量に関する限界を明らかにしたことと, その応用を与えたことである. 具体的には, 互いにエキゾチックな(つまり同相だが微分同相でない)4次元多様体であって, 同値な種数関数を持つものの組織的構成法を与えた. またこの構成法の応用として, 位相不変量に関して非常に広いクラスの境界付き4次元多様体が無限個のエキゾチック微分構造を持つことを明らかにした. さらに, 種数関数を保つ十分条件を与えることによって, 4次元多様体のエキゾチック性を保つ新しい操作を与えた. これらの成果は国際会議等の研究集会で発表した. また論文として執筆中である. 研究協力者である指導学生(大阪大学大学院生)とは4次元多様体の微分構造に関する様々なテーマについて議論を行った. 若槇洋平氏は小さい単連結閉4次元多様体の安定化に関する成果を得た. 高橋夏野氏は4次元多様体のあるエキゾチック対に対してトライセクション種数を決定した. 若槇氏と高橋氏はこれらの成果を論文として arXiv で公開し, 国際会議等の研究集会で発表した. 米原翔唯氏は2つのK3曲面から構成されるある4次元多様体の安定化に関する成果を得た. 瀧康二氏は楕円曲面の幾何学的単連結性に関する成果を得た. 米原氏と瀧氏はこれらの成果を2023年度修士論文として発表した. また、鎌田聖一教授(大阪大学), 大場貴裕准教授(大阪大学)と共に研究集会「4次元トポロジー」を2023年11月10日~11月12日に大阪大学で開催した. 55名の参加者があり, 活発な議論がなされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
種数関数に関する研究は当初の計画以上の成果が得られたが, 研究推進を優先したため, この研究と安定化に関する研究を論文として完成できていない.
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書の計画通り研究を進める予定であるが, 種数関数の研究に関する論文執筆を優先的に進める予定である.
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Causes of Carryover |
予定していた出張や物品購入のうち, 他の予算で賄えたものがあった. さらに, 都合が合わず参加できなかった出張等があったことと, iPad やプリンタ等の機器の購入を先延ばしにしたため, 次年度使用額が生じた. 次年度使用額は機器や書籍の購入と旅費に充てる予定である.
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