2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K03100
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田中 真紀子 東京理科大学, 創域理工学部数理科学科, 教授 (20255623)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 対蹠集合 / コンパクト対称空間 / コンパクトLie群 / 被覆準同型写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
田崎博之氏と共同で、2022年度に引き続き連結コンパクトLie群の極地としては実現できないいくつかの古典型連結コンパクト対称空間およびそれらの商空間の極大対蹠集合の合同類の分類を行い、極大対蹠集合の位数を求め、その最大値の決定と最大値をとる極大対蹠集合の決定を行った。具体的には、コンパクト対称空間UII(n)に対応する対称対(U(2n), Sp(n))を定めるU(2n)の対合的自己同型写像σに対して、U(2n)とσが生成するU(2n)の自己同型群の位数2の部分群<σ>との半直積(これは非連結コンパクトLie群)の極地としてUII(2n)が実現できることを利用した。UII(n)の極大対蹠集合の合同類の分類を得るために、U(2n)と<σ>の半直積の極大対蹠部分群の共役類の分類を行った。AII(n)については、σがSU(2n)の自己同型写像を誘導してSU(n)と<σ>の半直積の極地としてAII(n)が実現できることを利用した。AII(n)の極大対蹠集合の合同類の分類を得るために、SU(2n)と<σ>の半直積の極大対蹠部分群の共役類の分類を行った。主な古典型連結コンパクト対称空間の極大対蹠集合の合同類の分類が完了したので、得られた結果を論文としてまとめる作業に取りかかった。得られた結果については、日本数学会や国内外の研究集会で発表した。また、連結とは限らないコンパクトLie群の間の被覆準同型写像の被覆次数が奇数の場合に、極大対蹠部分群の共役類が被覆準同型写像を通じてある意味不変であることを証明した。この結果を論文としてまとめて数学専門学術雑誌に投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の中で最後に残っていた連結コンパクト対称空間 UII(n), AII(n) およびこれらの商空間について、極大対蹠集合の分類と極大対蹠集合の位数の最大値の決定を完了させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
得られた結果について証明を確認かつ改良しながら論文としてまとめる作業を進めるのと並行して、分類結果を利用して極大対蹠集合とモース理論との関係を調べるなど、極大対蹠集合の幾何学的な構造性質についての考察を進める。
|
Causes of Carryover |
課題番号 19K03478 を2023年度まで延長したことにより、2023年度の研究遂行にあたって十分な助成金が得られたため、本研究課題の2023年度分助成金の一部を2024年度に使用することにした。2024年度に計画している外国出張の旅費として使用する予定である。航空賃や宿泊費の実費が円安の影響を受けて通常より高額となることが予想されるためである。
|
Research Products
(8 results)