2023 Fiscal Year Research-status Report
Representations of the dual spaces of function spaces defined by nonlinear integrals and their applications
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23K03164
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河邊 淳 信州大学, 工学部, 特任教授 (50186136)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 非加法的測度 / ショケ積分表示 / σ-連続性 / τ-連続性 / コンパクト性 / 水平加法性 / 周辺連続性 / 抽象関数空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
抽象関数空間上で定義された単調な非線形汎関数を連続な非加法的測度によるショケ積分で表現する問題(ショケ積分表示定理)を,下記の(a)~(c)の観点に基づき,実用上十分に一般的な枠組みで定式化した.(a)上からの連続性と下からの連続性を同時にもつ汎関数に対して,上からの連続性と下からの連続性を同時にもつ表現測度を見出す.また,列的な連続性の概念であるσ-連続性に加えて,有向列を用いて定義される連続性であるτ-連続性についても考察する.(b)非線形汎関数の定義域が位相空間上の関数空間の場合のショケ積分表示定理を,従来知られている結果をすべて含むように,ベクトル束などの抽象的な枠組みで議論する.(c)汎関数の定義空間が必ずしも定数関数を含まない場合について,漸近平行移動可能性などの条件を汎関数に仮定して,抽象的な設定で理論展開する.具体的には,ある種の分離条件を満たす正斉次的なストーン抽象非負関数空間Φ上で定義された水平加法的かつ周辺連続な非線形汎関数I:Φ→[0,∞]に対して,下記の結果を得た. (1)Iがσ-連続(τ-連続)ならば,Iはσ-連続(τ-連続)な非加法的測度のショケ積分で表示可能である. (2)Φの任意の要素fとgに対して,0≦f≦1ならば,1-fとgの最小値関数が再びΦに属し,Φから作られる上方位集合の族がσ-コンパクト(τ-コンパクト)性をもつ場合は,Iに関する連続性の仮定なしに,Iは常にσ-連続(τ-連続)な非加法的測度のショケ積分で表示可能である. (3)与えられた集合族の定義関数をΦがすべて含む場合は,Iがσ-連続(τ-連続)であれば,その表現測度μは与えられた集合族でσ-連続(τ-連続)となる. さらに,汎関数Iに平行移動可能性や漸近平行移動可能性を課すことにより,非負とは限らない関数からなる抽象関数空間上の非線形汎関数の反対称ショケ積分表示定理を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抽象関数空間上で定義された単調な非線形汎関数を連続な非加法的測度によるショケ積分で表現する問題(ショケ積分表示定理)に関する研究成果をまとめた論文「The continuous Choquet integral representation theorems in an abstract setting」を国際雑誌に投稿した.また,国際会議「Positivity XI」で関連発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究で得られた抽象関数空間上の非線形汎関数の連続型ショケ積分表示定理を議論の土台として,さらに関数空間の双対空間の表現問題の解明に向けて研究を推進する.具体的には下記の研究を行う. 1.令和5年度の研究では,単調な汎関数に限定して,連続型ショケ積分表示定理を議論した.一方,必ずしも単調ではないが,有界変動な汎関数に対しても,いくつかの具体的な関数空間に対しては,連続型のショケ積分表示定理が議論されている.しかし,それらの研究では,同時に上からも下からも連続となる表現測度を未だ見出すに至っていない.そこで,令和5年度の研究で提案した抽象的枠組みを用いて,表現測度が同時に上からも下からも連続となる,いわゆる連続型ショケ積分表示定理を,必ずしも単調とは限らない汎関数に対して確立する. 2.位相空間(特に局所コンパクト空間)上の非加法的測度の弱収束や漠収束の研究に,連続型ショケ積分表示定理を応用する.
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Causes of Carryover |
エフォートに対する考慮や研究の進捗状況により,当初に予定していた研究発表及び研究打ち合わせのための国内外の出張をいくつか取りやめたことにより,次年度使用額が生じた.次年度使用額の一部は,令和6年度にシンポジウム参加費や旅費として使用する.
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