2023 Fiscal Year Research-status Report
拡散-非拡散反応系における外力とダイナミクスの関連
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23K03177
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 香奈子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (10451519)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 反応拡散系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,反応拡散系に含まれる外力項が解のダイナミクスに与える影響を考察することである。ある活性因子-抑制因子型の反応拡散系では,活性因子が満たす方程式が反応とは無関係に活性因子が生産される量を表す基礎生産項と呼ばれる外力項を含む場合,解の有界性が得られ系のダイナミクスが安定化することが分かっている。本研究では,外力項のより具体的な影響を考察したい。応用を意識し,様々な形の外力項を考察し,定常解の形状や安定性及び解の挙動にどのような影響を与えるかについて明らかにする。扱う方程式系は,古典的な反応拡散系と,前年度までの研究課題で解析を行っていた拡散-非拡散系とする。 今年度は研究実施計画に従い,外力項が定数で含まれる反応拡散系の解のダイナミクスを考察した。外力項を反応項に組み込むような変数変換を導入し,関連する力学系の平衡点の安定性及び反応拡散系の解の挙動と外力項との関連について考察した。逆数による変換を導入することで解の有界性を得ることができ,さらに変換前には見えなかった定常解が現れることに着目することで新たな解の挙動を予測することができた。解の挙動の予測を立てるため一定の時間を割いて数値実験にも取り組みつつ,反応拡散系の解の挙動と外力項の影響にについての考察を継続しているところである。また,反応拡散系に対する変数変換のアイディアを,拡散-非拡散系の解のダイナミクス解析に応用するための情報収集及びアイディアの整理を行った。来年度に向けてさらに解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実施計画の内容について,数値計算にも一定の時間を割いているため時間的な余裕はあまり感じられないが,当初のアイディアが概ねうまく適用できており,計算も進んでいる実感がある。次の課題である拡散-非拡散系への変数変換の考察については,解析手法の情報収集に一定の時間を割いているが,アイディアをいくつか試すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
反応拡散系の解と外力項の関連について今年度に実施した解析の完成を目指す。近似解の構成により解の形状を詳しく解析することに取り組む。また,拡散-非拡散系の解のダイナミクス,特に時間無限大で解も無限大になる挙動の解析を行う。今年度に考察した外力項を非線形項に組み込む変数変換により,力学系のダイナミクス解析を行う視点からの考察を試す。 来年度は,外力項が時間変数または空間変数に依存する場合の考察を始めるための情報収集及び数値計算にも一定の時間を割く。
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Causes of Carryover |
ノートパソコンの購入を延期したこと及び予定していた出張を数回取りやめた為,次年度使用額が生じた。
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