2023 Fiscal Year Research-status Report
確率効果をもつ非線形分散型方程式の解の挙動と特異性の解析
Project/Area Number |
23K03182
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 葵 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (40735148)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 適切性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度の研究では、粘性効果をもつ非線形波動方程式の研究を行った。特に、初期値問題の適切性・非適切性の観点から粘性効果がもつ影響を調べた。通常の波動方程式と粘性効果をもつ波動方程式とは、同じ尺度変換で不変である。そのため、尺度臨界指数は共通であるが、適切・非適切となるソボレフ空間の指数には粘性の影響が表れることを明らかにした。特に、通常の波動方程式では、ソボレフ空間の指数が負になれば初期値問題は非適切となるが、粘性効果を含む場合には、粘性がもつ平滑化作用により、正則性が負の場合であっても適切性が得られる状況が起こることを発見した。また、粘性効果をもつ波動方程式において、逐次近似法を用いて適切性が得られる最適な正則性の指数を決定した。 適切性の証明では、粘性効果によるシャウダー型評価を考慮した解空間を設定し、縮小写像の方法により、初期値問題に対応する積分方程式の不動点として解の存在を示した。特に、尺度臨界指数が負になる状況では、正則性の指数が負になるソボレフ空間においても適切性が得られた。 非適切性では、高周波同士の相互作用により低周波が発生する場合を特定し、非線形相互作用で生じる影響を丁寧に観察した。その際、粘性効果の影響で、高周波部分は指数的な減衰を有するが、低周波が発生する際には、そのような指数的な減衰の寄与がほとんどないことを、逐次近似項を綿密に計算することで見つけた。それにより、解写像が不連続となる解を構成することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粘性効果を含む非線形波動方程式の初期値問題について、適切性・非適切性に関する結果が得られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
決定論的な場合だけでなく、確率効果を含む場合についての解析を行う。
|
Causes of Carryover |
年度の途中で、次年度に国際研究集会への参加が決まった。その旅費に充てるため、今年度の旅費使用を控えたので次年度使用額が生じた。当該額は次年度の旅費として使用予定である。
|