2023 Fiscal Year Research-status Report
Mathematical analysis of time periodic Schroedinger equations
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23K03187
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
谷島 賢二 学習院大学, 理学部, 研究員 (80011758)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 時間周期的な相互作用 / 多体問題 / 散乱の完全性 / エネルギーの有界性 / 拡張相空間 / 拡張ハミルトニアン / シュレーディンガー作用素 / 4階4次元 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題「時間周期シュレーディンガー方程式の解析」における研究目的は多体散乱問題の完全性、すなわち時間に関して周期的な相互作用をする任意個数の粒子系が、時間無限大において、束縛状態をなすいくつかの部分系に分裂し、各部分系の運動は互いに独立な自由運動に漸近することを証明することである。この証明のためには粒子系のエネルギーが全時間にわたって有界であることを保証する必要がある。これは極めて難問で、無限遠で零に収束するポテンシャルをもつ単体問題でも、ポテンシャルの時間的な振る舞いに関する何らかの条件をおかない限り一般には不成立であることが知られている。本研究では、2粒子間相互作用ポテンシャルが適当なルベーグ空間において時間に関して一様に小さければ、一般的にエネルギーの有界性と散乱の完全性が成り立つことを、波動関数の時空上の振る舞いに関するStrichartz評価と加藤の H-smoothnessの理論で用いられた議論を適用し、ついで Bourgainによる帰納法を用いて初めて証明した。このとき、任意個数の粒子系が時間無限大において互いに独立な自由粒子として振る舞うことも同時に証明した。
この問題の他に、前年度までの研究課題の続きとして、4次元空間における4階シュレーディンガー作用素の波動作用素が連続となるルベーグ空間の指数を、ポテンシャルの無限遠方での減衰に関する条件のみで、シュレーディンガー作用素がスペクトルの閾値に特異性を持つ場合を込めて、端点指数$p=1, \infty$を除いてほぼ完全に決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間に依存する二体間ポテンシャルによって相互作用する多体量子力学系に対して、相互作用力が弱ければ、ポテンシャルの時間に関する振る舞いに無関係に一般的に、散乱理論の完全性とエネルギーの有界性が証明できたことは、より一般の時間周期相互作用量子系の運動の研究への第一歩として有意義である。
4階自由シュレーディンガー作用素の特性多項式の原点での特異性がモース関数的ではないことから4階シュレーディンガー作用素の閾値における特異性の種類は豊富で、レゾルベントの閾値での特異性のタイプは通常のシュレーディンガー作用素に比較して2倍多い。このすべてのタイプについて波動作用素が連続となるルベーグ空間の指数を決定できたのはモンゴル大学のA. Galtbayar 教授との共同研究によるところが大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
一般の時間周期相互作用量子系の散乱理論を展開するためには、粒子系のエネルギーの全時間にわたる有界性を示すことが必要である。このためには時間に関する周期性を本質的に取り込んだ議論を展開することが必要である。一般の時間依存ポテンシャルに対しては単体問題においても不成立であることが知られているからである。単体問題の時間周期系に対する散乱の完全性はエネルギーの有界性を経緯することなく証明されている(1978年、研究代表者による)。この場合でも、時間周期性なしではエネルギーの有界性は一般には不成立であるので、まずは単体問題におけるエネルギーの有界性が、ポテンシャルの時間周期性からどのようにして導けるかを1978年の論文を再吟味して明らかにしたい。その上で、この議論が多体問題にどのように拡張できるか検討していくことにする。
波動作用素のルベーグ空間における有界性の問題は次元が低い偶数次元空間においてより難しくなる。実績報告の項でのべたように4次元空間での問題を解決したので、次に2次元空間でのこの問題に挑戦する。準備的考察では4次元空間の解析に用いた基本作用素は2次元でも高エネルギー部分に対しては効果的に働くが低いエネルギ部分では特異性が強すぎて望ましい性質を持たず、目下のところ波動作用素が連続となるルベーグ空間の指数を予想するのが困難である。モンゴル大学の A. Galtbayar 教授との共同研究によってこの困難を解決する
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Causes of Carryover |
再延長された2021年度までの課題番号19K03589(研究課題「シュレーディンガー方程式の数理解析」)への研究補助金によって2023年度における殆どの支出をまかなったために次年度使用額が生じた。2024年度にはミュンヘン大学のSiedentop教授を招聘して共同研究を行うための旅費、モンゴル国立大学の Galtbayar教授を訪問して共同研究を行うための旅費、ならびに研究情報の取得のため国内の様々な研究集会あるいはセミナーに出席するための旅費に支出するとともに、共同研究のため来日するオールボルグ大学の Jensen 教授への謝金、あるいは研究発表論文のオープンアクセスのためにも研究費補助金を使用する。
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Research Products
(1 results)