2023 Fiscal Year Research-status Report
Construction and analysis of a hybrid mathematical model describing the dynamics of bacterial cellular society
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23K03208
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田崎 創平 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (50713020)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 細菌 / コロニーパターン / バイオフィルム / 数理モデル / ハイブリッドモデル / マルチレベルモデル / 個別要素法 / 遺伝子制御ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌集団の自己組織化は、主に細胞レベルから組織レベルを跨ぐマルチレベルな現象である。その数理モデル化手法を提案してきたが、本課題では特に細胞の運動や内部状態を個別要素(エージェントベース)で記述し、環境は組織レベルの反応拡散方程式系で記述する、ハイブリッド数理モデルを構築し、研究を進めている。本モデルは、不均一な細胞状態を扱うことができるだけでなく、細胞レベルの幾何学的な構造も再現できる。これまでに細胞レベルの幾何学的構造がマクロなパターンを形作るレース模様状コロニー形成のモデルを構築し、数値計算を行ってきた。特に本研究でターゲットにしている枯草菌のレース模様状のコロニー形成は、環境条件によりレース模様の滑らかさが変わることが培養実験より明らかになった。これは環境条件によって細胞状態制御が変化し、細胞間の接続の強弱も変化することによるものと予想された。実際に対応するパラメータを変化させることで、レース模様状パターンの変化を再現することに成功した。今後は枯草菌のような桿菌のみならず、球菌など他の形状の細胞のモデルや、異なる細胞タイプの混合した細胞集団の細胞文化ダイナミクスの研究へと進展していく予定である。また、簡略化・粗視化できそうな場合は、組織レベルの数理モデルへの近似手法を開発し、その誤差等を評価していく予定である。細菌が非一様な細胞社会を形成し、多細胞性を創発する原理を明らかにするべく、数学的・数値的解析による研究を展開していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の第一目標であるハイブリッド数理モデルは構築され、いくつかの例で数値的・数学的計算が進められている。実験と数理の融合により、新しい現象の発見とメカニズムの解明が同時に達成され、本数理モデルの有効性も明らかになろうとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は枯草菌のような桿菌のみならず、球菌など他の形状の細胞のモデルや、異なる細胞タイプの混合した細胞集団の細胞文化ダイナミクスの研究へと進展していく予定である。また、簡略化・粗視化できそうな場合は、組織レベルの数理モデルへの近似手法を開発し、その誤差等を評価していく予定である。細菌が非一様な細胞社会を形成し、多細胞性を創発する原理を明らかにするべく、数学的・数値的解析による研究を展開していく。
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Causes of Carryover |
年度前半、当該実験を行ったが、報告の通り、数学的・数値的解析のターゲットとなる新しい現象をすぐに発見した。そのため実験器具・消耗品は予定より若干節約されたため、全額の約1割を次年度に繰り越した。今後もほぼ同様の計画で進めるが、数値計算のための計算機やストレージ等を補強にやや多めに充てたい。
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