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2023 Fiscal Year Research-status Report

コーシー分布に対する推定と確率微分方程式の逆問題の研究

Research Project

Project/Area Number 23K03213
Research InstitutionShinshu University

Principal Investigator

乙部 厳己  信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (30334882)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2028-03-31
Keywordsコーシー分布 / 不偏推定量 / 擬算術平均 / 分数階微分
Outline of Annual Research Achievements

コーシー分布を仮定したときの標本からのパラメータを推定する推定量として、無数の不偏推定量からなる族を構成した。しかしながら、それらの中に有効推定量が存在するのか、存在しないならばその中でも最良のものはどれであるかを決定する問題が未解決であり、優先して取り組むべき問題である。
それを考察するために、擬算術平均の持つ一般的性質を明らかにすることが必要である。考えている不偏推定量は、-1 < p < 1 のパラメータによって支配される、冪関数が定める擬算術平均である。p = 0に相当する場合にはこれは幾何平均と呼ぶべき量であり、その性質はかなり明らかになっている。しかしながら、0 < p < 1の場合と -1 < p < 0の場合では全く挙動が異なることが明らかとなった。また、ほんのわずかでも虚的な摂動を加えると、負冪の側は-1 < pに全く限定されないこともわかった。これはコーシー分布の逆数対称性の観点からは不思議な性質といってよい。さらに、pに関して正則であり、pは複素数にまで自然に有理形に拡張される。
このように今年度においては、複素冪で定まる擬算術平均の関数としての挙動については多くのことが分かった。さらに複素冪については複素積率母関数の分数階微分であるとの立場に立った解析によっても複素冪擬算術平均について多くの性質を明らかとすることができた。さらに、それら分数冪積率の計算法から、分布の緊密性が導かれるかという問が自然に現れ、それらについても解決をみた。その証明法は複数見つかったが、共同研究者の岡村和樹によって提示された方法では、独立同分布なコーシー変数の無限の複製をとることできわめて明快にその事実が示された。この議論はコーシー分布の分数冪に関する積率評価を得るためにマルチンゲールの手法が有効であることを示唆しており、従来想定していなかった手法が有効に働く可能性があることを意味している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

計画では、べき乗による擬算術平均で定まる不偏推定量の中から最良のものを決定することを目標としていた。残念ながら当年度においてはそれは不明のまま終わった。しかしながら冪を複素化し、さらにその実部が-1を下回る場合もあり得ることをはじめとして想定を超える数学的性質が明らかとなり、単に-1 < p < 1の範囲を考えるのでは決定できないという観点にいたった。すなわち、考えている問題はより深遠な複素解析的事実に基づいていることが明らかとなり、決定はできなかったものの、問題に対する理解はその決定しようとしていた事実よりもはるかに深まったといってもよい。さらに分数階微分による積率の計算法については当初考えていたよりも深く解析できた。

Strategy for Future Research Activity

複素冪擬算術平均で定まる不偏推定量の分散を決定、あるいは評価する問題は現時点では具体的な方策の目処が立っていない。しかしながらこれら不変量のパラメータに関する正則性及び分数階微分の方法は必ずそれらの導出に有意義であると信じている。さらに当該年度においてはこれらの量のマルチンゲール性も示唆される結果が導かれており、本年度における研究成果を基礎として、さらに研究を発展させる。

Causes of Carryover

購入した計算機の価格が当初想定よりも若干安価であったため、予算に残額が生じた。次年度においては計算能力を強化するためのGPUを購入予定であるが、この残額を加えて可能な限り高性能なGPUを購入する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] Confidence disc and square for Cauchy distributions2023

    • Author(s)
      Akaoka Y.、Okamura K.、Otobe Y.
    • Journal Title

      Ukrains’kyi Matematychnyi Zhurnal

      Volume: 75 Pages: 305~318

    • DOI

      10.37863/umzh.v75i3.6797

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Properties of complex-valued power means of random variables and their applications2023

    • Author(s)
      Akaoka Y.、Okamura K.、Otobe Y.
    • Journal Title

      Acta Mathematica Hungarica

      Volume: 171 Pages: 124~175

    • DOI

      10.1007/s10474-023-01372-0

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2024-12-25  

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