2023 Fiscal Year Research-status Report
パラメーター自動調整機能を有する自律分散型モデルの提案
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23K03228
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
上田 肇一 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (00378960)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 自律分散システム / ロコモーション / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ロコモーション機能の創発原理を理解するために,次の(1),(2)の研究を推進する。 (1)環境適応的ロコモーションシステムの創発モデルの提案:本研究では,ロコモーションモデルに対して情報伝達機能を付加することにより,「自動パラメータ調整によるロコモーション創発と刺激に対する運動変化機能創発」を実現する。これにより,生命システムの環境適応性の理解に対する理論基盤の構築,及び工学的に期待される無限定環境に適した自律分散型ロボットの制御モデルを提案する。 (2)システム拡張を可能にするモデル設計法の提案:システムサイズに依存しないシステム拡張方法を提案することで,システム全体の機能を維持したままシステムサイズの拡張を可能にする。そのために,パラメーター自動調整付きの機能モジュールの開発と,モジュール同士の結合方法を開発する。 代表者がこれまで作成してきた同期振動の創発モジュールを活用し,ロコモーションモデルに対するパラメーター自動調整モデルを作成した。従来研究によって提案した空間1次元におけるロコモーションモデルを拡張し,空間2次元モデルを作成した。空間2次元モデルにおいては,指定した方向を突然変更された際にも,新たな指定方向に移動することを確認し,提案システムが環境適応性を有することを示した。また,提案したロコモーションモデルはシステムサイズが増加した際にも自動的にパラメーターを発見することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究の課題の1つである,環境適応的ロコモーションシステムの創発モデルの作成を行なった。這行モデルにおいて接地タイミングと身体の伸縮リズムの位相差を自動的にコントロールすることを実現するパラメータ調整モデルを作成し,自発的に安定したリズムを生成することに成功した。以上の理由から本年度は計画通りに成果を出すことができたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
パラメーター自動調整モデルを,神経伝播モデルに対して適用し,効率的な情報伝達を実現するパラメーターを自発的に発見する数理モデルを作成する。そのために,代表者がこれまで提案してきたモデルを改変し,入力信号―出力信号間の増幅率を評価変数とすることで,情報伝達機能を最適化するパラメーターを力学モデルのアトラクターとして表現する。
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Causes of Carryover |
予定していた研究打ち合わせを中止したため残額が発生した。次年度,ロコモーションモデルに関する研究打ち合わせのための旅費に使用する計画である。
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