2023 Fiscal Year Research-status Report
Construction of a programmable chemical computer driven by chemical oscillator networks
Project/Area Number |
23K03257
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岡野 太治 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60622082)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Belousov-Zhabotinsky反応 / 化学コンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,化学振動子ネットワークを利用した化学コンピュータの技術基盤を構築することを主目的としている.これを達成するため,今年度は化学振動子ネットワークの最適化と,ノイズ重畳信号から有意信号だけを抽出する手法の確立を目指して研究を行った.その結果,ネットワークを構成する振動子の結合強度を最適化することで,効率よく信号を抽出できることを明らかにした.また,2年目に計画していた,化学振動子ネットワークで文字識別処理を行う研究に取りかかり,字形が異なる同一種類の文字をその文字に固有のパターン画像へと変換することに成功した. 研究では,化学振動子としてBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応をする微小ゲルを利用した.BZ振動子を直線状に結合させたネットワークでは,ネットワーク最上流の振動子にランダムな時間間隔でパルス信号を入力すると,システムのダイナミクスによってネットワーク下流の素子ほどパルス信号のランダムネスが低下する.この現象を利用して,ノイズを含んだ信号からノイズを除去し,信号だけを抽出できるか検証した.その結果,振動子の結合が弱いと信号がネットワークを伝播する過程で減衰してしまうこと,強いとランダムネスの低下がほとんど起こらないことがわかった.これを踏まえ,最適な結合強度に設定したネットワークで実験を行ったところ,ノイズ重畳信号から有意信号を抽出することに成功した. 続いて,数字が描かれた画像を画素単位で順次スキャンし,時系列パルスデータへと変換してネットワークに入力した.その結果,適切なネットワークの構成条件下で,同一種類・異字形の数字を数字の種類に固有のパターン画像へと変換することに成功した. これまでに得られた成果は,学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では,今年度は化学振動子ネットワークの最適化とノイズ重畳信号から有意信号だけを抽出する手法の確立を計画していた.これらは本年度中に達成し,更に次年度に予定していた計画の一部を前倒しして実施していることから,研究は順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は当初計画を概ね達成できた.今後の研究を推進するにあたって研究目的の達成に支障となるような大きな問題はなく,今後の研究も当初計画どおりに実施する.
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Causes of Carryover |
研究推進にあたり必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込額と執行額に差異が生じた.今後の研究計画に変更はないため,前年度の研究費も含め当初予定どおりに使用する.
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