2023 Fiscal Year Research-status Report
Pioneering the frontier of quantum hydrodynamics and turbulence
Project/Area Number |
23K03305
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
坪田 誠 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10197759)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 量子流体力学 / 量子乱流 / 超流動ヘリウム / 原子気体ボース・アインシュタイン凝縮 / 量子渦 / 超流動 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子流体力学とは、超流動ヘリウムや原子気体ボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)などの低温の量子凝縮系における流体力学を指す。そして、この系で起こる乱流を量子乱流という。この系では、ここ10年来、優れた実験と、従来は不可能だった数値計算の登場により、大きな展開がみられる。申請者はこの分野で世界をリードする業績を上げてきた。本申請では、これまでの実績と現在の活動に基づき、量子流体力学と量子乱流に関するフロンティアを開拓する。以下の成果を挙げた。 [超流動ヘリウム]1. 量子渦の運動の可視化に成功した。その減衰の様子を観測し、これまで考えられてきた減衰過程の理論モデルのどれが妥当かという問題に一つの解決を与えた。2. フロリダ大学が行なった微小空間中の量子渦の運動に関し、その状況での量子渦の運動、特に表面荒さ(ピニング)が及ぼす影響につき、数値計算により明らかにした。 [原子気体BEC]1. 振動励起によるファラデー波の非線形現象につき、グロス・ピタエフスキー(GP)方程式の解析により明らかにした。2. 回転する量子乱流についてGP方程式により調べた。回転の効果は低波数領域では異方性を生む。しかし、乱流を駆動する揺らぎを入れ続けると、高波数領域では等方化が起こることを明らかにした。3. ホログラフィックモデルにより、2次元超流体における量子渦の運動、特にその散逸について明らかにした。その散逸機構とそれに基づく量子渦の運動は、通常の超流動ヘリウムや原子気体BECとは定性的に異なるものであった。4. ホログラフィックモデルにより、2成分超流体で、振動流れ場の駆動により、(対称なはずの)2成分の量子渦の数が異なるという、特異な対称性の破れを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6件の論文発表と、多数の学会発表を行なった。順調に成果は出ているので、前年度の研究を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に成果が出ているので、現在の研究を継続発展させる。
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