2023 Fiscal Year Research-status Report
Accurate representation of quantum data for promoting materials science and quantum technology
Project/Area Number |
23K03307
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野村 悠祐 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (20793756)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 人工ニューラルネットワーク / 量子多体系 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトは、量子多体系や量子回路などの量子状態を古典コンピュータで表現するための手法開発・応用を目指すプロジェクトである。重要な開発目標として、1. より高精度な量子状態表現を目指す、2. これまでの量子状態表現の適用の幅を広げる、の2点が挙げられる。以下それぞれの成果について述べる。
1. 大規模言語モデルで使用されるトランスフォーマーはアテンション機構を搭載しており、文字列の中で関連の高い単語が離れた場所にあってもその相関を効果的に取り込めることがわかっている。これを量子状態表現に用いると、これまで困難であった長距離の量子相関を効果的に取り込むことができることが期待される。この期待のもと、実際にトランスフォーマー型の量子状態表現手法を実装することによって、1次元の量子スピンが相互作用する系における量子状態を非常に高精度に近似できることがわかった。
2. 通常の量子状態の表現手法の適用範囲は絶対零度における量子状態の表現に限られている。本年度はその適用範囲の拡大に着手した。具体的には、純粋化という概念と組み合わせることによって、有限温度の量子状態の表現を可能にし、有限温度における動的な相関関数(動的スピン構造因子)などを計算できるような手法の開発に成功した。実際の量子多体系に対する実験は、常に有限温度で物理量が測定されるため、実験の結果と比較する上でも有限温度における動的な相関関数の計算を可能にすることは重要となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
トランスフォーマー型の量子状態表現は当初想定していなかったものであり、当初の計画以上に手法開発が進んでいる状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
開発したトランスフォーマー型の量子状態表現手法を2次元に拡張する。有限温度計算に関しては、その手法を動的平均場理論の不純物問題を解析するために使用することで、動的平均場理論の計算手法の高度化を目指す。
|
Causes of Carryover |
今年度予定していた出張が取りやめとなり、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、次年度に予定している出張の旅費として使用する。
|
Research Products
(11 results)