2023 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical study of novel topological electronic properties arising from the structure and molecular degree of freedom of high-dimensional molecular crystals
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23K03322
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
土射津 昌久 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (70362225)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 立体π共役系 / トポロジカル・フラットバンド / フタロシアニン分子性結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、3回対称性をもち立体的にπ共役系を有するトリプチセン誘導体の2次元結晶の電子状態の解析を行なった。特に、トリプチセン誘導体の3角格子構造に着目し、トポロジカル電子物性の理論予測を行なった。分子の3回対称性と分子間結合の3回対称性に起因する量子干渉効果により、フラットバンドが出現する。ここにKane-Mele型のスピン軌道相互作用を考慮すると、たとえ弱いスピン軌道相互作用であってもフラットバンドのチャーン数が有限となり、トポロジカル・フラットバンドとなることが分かった。そこで、トリプチセン誘導体においてスピン軌道相互作用を考慮した多軌道モデルからLUMOに対する有効モデルを導出し、Kane-Mele型のスピン軌道相互作用の大きさを評価した。さらに、2次元単層膜が基板上におかれた場合に生じる反転対称性の破れの効果も考慮し、特異なスピン分極が起こることを明らかにした。
また、フタロシアニン分子性結晶に注目し、中心遷移金属が異なるフタロシアニン分子の混晶系においては、局在スピンを介したπ伝導電子間の交換相互作用メカニズムが生じることで、フェリ磁性的な電荷秩序状態が出現することを見出し、実験で得られた混晶系の自発磁化および負の巨大磁気抵抗効果を説明できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規高次元分子性結晶、および多彩な分子内自由度による電子状態の解析、新規物性の理論予測に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析を発展させ、立体π共役分子系における新規物性の理論探索を行う。これと同時に、高次元強相関電子系を記述する特異モード汎関数くりこみ群法(SM-FRG)を発展させ、効率的に強相関効果を記述するための改良を行う計画である。
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Causes of Carryover |
当初、初年度に計算機の購入を予定していたが、本年度の購入は見送ったため。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] 水素結合ネットワークを形成する 3 核金属錯体 (金属=Cr, Ru) の磁性2023
Author(s)
山口明, 池田祥貴, 住川舜, 高村一輝, 山根悠, 住山昭彦, 小澤芳樹, 阿部正明, Liviu Ungur, 岩原直 也, 梅村真由美, 土射津昌久
Organizer
日本物理学会 第78回年次大会
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