2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K03384
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
青木 真由美 金沢大学, 数物科学系, 教授 (70425601)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 素粒子論 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の宇宙には物質が反物質よりもはるかに多く存在しており、どのようにしてそのようなバリオン数の非対称性が生じたのかは大きな謎となっている。バリオン数非対称性を生成するためには、バリオン数の破れ、C、CP対称性の破れ(C:荷電共役、P:パリティ変換)、熱平衡状態からの逸脱の3つの条件が必要である。電弱バリオン数生成機構では、熱平衡状態からの逸脱は電弱対称性の破れに伴う相転移が強い一次的であれば満たされる。標準模型では電弱相転移はクロスオーバーになり、さらにCPの破れの大きさも十分ではないことから、電弱バリオン数生成機構を働かせるためには標準模型の拡張が必要となる。特に、スカラーセクターの拡張は一次相転移を実現しやすくするため有望である。一方、CPの破れに対しては、電気双極子モーメント(EDM)探査実験が非常に厳しい制限を与えている。電弱バリオン数生成機構で十分なバリオン数を得るために必要なCPの破れは、実験結果と矛盾する大きなEDMを容易に予言しうることから、何らかの方法でそれを避ける必要がある。 本研究では、新たなスカラー場を導入した拡張模型において、電弱相転移が2ステップで起こりその途中段階でのみCP対称性が破れる場合を考え、そこで電弱バリオン数生成機構がはたらく可能性を議論した。まず単純化した簡単な模型において解析した結果、2回目の相転移において十分なバリオン数非対称性が生成されうることがわかった。さらに、いくつかの具体的な拡張模型においてもマルチステップ電弱相転移におけるバリオン数生成の可能性を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチステップ電弱相転移における電弱バリオン数生成機構の新たな可能性について論文をまとめ、査読付き雑誌にて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
暗黒物質を含む暗黒セクターを伴う模型におけるCPの破れについて研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
国際会議で研究発表を行う予定であったが日程の調整ができず参加を見送ったため。次年度は旅費として使用を予定している。
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