2023 Fiscal Year Research-status Report
Dynamics of Axion in the Early Universe
Project/Area Number |
23K03415
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 亮介 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20784268)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | アクシオン / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
暗黒物質はこの宇宙のエネルギーの約1/4を占める未知の物質である。本研究では、アクシオンと呼ばれる未知の粒子が暗黒物質である可能性に着目し研究した。アクシオン暗黒物質シナリオでは、初期宇宙におけるアクシオン場のダイナミクスが重要な鍵を握る。当該年度においては、特に、初期宇宙においてアクシオン場が大きな運動量を持っているシナリオの研究に注力した。このシナリオには、アクシオン場に大きな運動量を与えた機構が必要である。また、具体的な模型を構築することにより、アクシオンだけでなく様々な新粒子が予言される。それらの新粒子の性質や初期宇宙シナリオにおける役割を調べ、現在までに得られている素粒子実験の結果や確立している宇宙の歴史と矛盾していないかを調べる必要がある。このように、現在までに得られている素粒子論や宇宙論の知見と整合性のある初期宇宙シナリオを探すため、具体的な素粒子模型を構築し数値解析を行った。これにより、矛盾のないシナリオが成立する模型とパラメーター領域を見出した。さらにアクシオン場が大きな運動量を持っているシナリオでは、アクシオン場の空間的揺らぎが増幅され特徴的な揺らぎのスペクトルが現れ得ることが指摘されていたが、そのような揺らぎの増幅が具体的なアクシオン暗黒物質シナリオで発生するパラメーターを見出した。このように、具体的な素粒子模型および初期宇宙シナリオに基づき、アクシオン場の揺らぎの増幅現象まで考慮にいれたアクシオン暗黒物質シナリオの解析を行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の解析結果について国内外で数回研究発表を行った。また、研究成果をまとめた論文を執筆中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果をまとめた論文を発表したのち、さらにアクシオン暗黒物質シナリオについての解析を行う。特に、アクシオン場の空間的な揺らぎに注目し、アクシオン暗黒物質を検出するための方策や新たな暗黒物質シナリオについて議論する。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額は当該年度の直接経費の五パーセント未満であり適切に支出が行われた。なお、残額は次年度使用額として旅費などに繰り込まれる予定である。
|