2023 Fiscal Year Research-status Report
GeVエネルギー領域における原子核反応断面積の精密測定
Project/Area Number |
23K03438
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
長谷川 勝一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90391333)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 水銀標的 / 粒子識別モニタ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である2023年度は、研究計画に基づいて、原子核反応断面積の精密測定に必要な標的と検出器の設計・製作に着手した。 標的については、有毒物質である水銀を用いることから、実験施設であるCERN SPSの安全ディビジョンと協議を重ね、実験施設の安全基準を満たすために必要とされる性能に関する検討を行っている。内容としては主に水銀の漏洩対策と、漏洩時の水銀検知システムについての議論を行い、概要設計までが完了している。 反応断面積の精密測定のためには、入射粒子の正確なエネルギーと粒子識別が必要となる。そのため実際の実験を遂行するに必要な、CERN SPS NA61/SHINEビームラインにおける粒子識別のシミュレーションを行い、当研究課題のエネルギー近傍におけるビーム粒子の識別能力向上が必要であることを明らかにした。このために必要な粒子モニタの設計を行い、保有する資材を用いて試作機制作をおこなった。試作したモニタはSPring-8において陽子ビーム照射試験を行い、データを解析した結果、所定の性能を満たすことを確認した、 検出器については、実験ビームラインに設置できる具体的な設計検討を行った。その結果、当初検討していた液体シンチレータを使用した検出器が巨大となり、設置等が困難であることが判明した、このために細分化したプラスチックシンチレータと波長変換ファイバーを用いた検出器を新たに設計し、保有する物品を用いた原理実証器の製作とテストを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粒子識別モニタと検出器については、設計とテスト器の製作を完了し、性能評価のためのビームテストを前倒しで行うなど、順調に進んでいる。一方で、水銀標的については、主に安全対策を中心とした漏洩検知器等の選定と承認に時間がかかっているが、研究課題としてはおおむね順調に進展をしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度内に、水銀標的の設計について承認を得て、製作までを完了させる方針である。これによって、2025年度の実験に必要なハードウェアの準備を完了する。同時に、2025年の実験に必要な解析環境の構築も進める。
|
Causes of Carryover |
2023年度分研究費の主な使用用途であった、水銀標的の設計製作について、承認手続が当初計画よりも遅れたことにより、設計完了と製作が年度内に間に合わず、計画を変更して2024年度に行うこととしたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、次年度分研究費と合わせて、水銀標的の設計製作、検出器等に係る費用として使用する。
|
Research Products
(1 results)