2023 Fiscal Year Research-status Report
Revealing the launching mechanism and structure of black hole outflows through high resolution X-ray spectroscopy and multi-wavelength observations
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23K03459
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
志達 めぐみ 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (10755846)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ブラックホール / X線連星 / 降着円盤 / ジェット / アウトフロー |
Outline of Annual Research Achievements |
全天 X 線監視装置 MAXI を用いてブラックホール X 線連星の増光の監視を行い、複数の X 線連星の増光をとらえることに成功した。今年度 MAXI で検出した天体のうち、最も増光したブラックホール候補天体の一つである Swift J1727.8-1613 に対して、増光中に X 線観測装置 (NICER, MAXI, Swift) と可視光・赤外線・電波望遠鏡を用いた多波長観測を実施した。X線光度やスペクトルの異なるいくつかの時期に観測を実施することで、降着円盤・ジェットの構造や放射強度の変化を明らかにすることができた。可視光に関しては、測光観測だけでなく分光観測も実施し、X線では見えない低温・高密度の円盤風の有無についても調査を行うことができた。現在、それらの観測で得られた膨大なデータの解析を進めており、次年度中の論文化を目指している。XRISM は、2023 年 9 月 7 日に打ち上げられ、衛星本体や検出器の立ち上げ、基本性能確認を経て、2024 年 2 月から本格観測が開始された。私が提案したブラックホールX線連星のうち、1天体 (4U 1630-472) の観測が年度末頃に実施され、円盤風の分光データを得ることができた。間もなくデータがチームメンバーに配布される予定であり、次年度に解析を行う予定である。また、衛星の性能確認期間には、軌道上データを用いた衛星時刻システムの機能確認・時刻精度の評価に携わるなど、技術面でもミッションに貢献した。加えて、第1回のXRISM国際観測公募に、ブラックホールX線連星の円盤風の観測提案を提出すべく、共同研究者と検討・準備を行った (提案書は 2024 年 4 月に提出した)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたX線連星の増光時の多波長観測を実施することができ、様々な時期の多波長スペクトルエネルギー分布や吸収線データを得ることができた。XRISMの打ち上げ時期は当初の予定から遅れたものの、2023年 9月に無事に打ち上げられ、本格観測も開始された。すでにX線連星1天体に対する精密分光データを入手することができ、2024年度には別の天体の観測も予定されており、ほぼ順調に観測が進んでいる。XRISMデータの処理・チームメンバーへの配布が遅れており、2023年度中に解析を進めることはできなかったが、2024年度初頭にはデータ配布が行われ解析に着手できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度から引き続いて、MAXI を用いたブラックホール X 線連星の増光の監視、増光中の多波長観測を実施する。その際、XRISM にも即時観測のリクエストを行い、精密 X 線分光観測を実施する。2024年8月までのXRISMメンバー限定の初期観測期間については、私がブラックホールX線連星の即時観測チームのリーダーを務めており、チームメンバーとともに観測・データ解析を進める。2024年9月以降の公募観測期間についても、同様の観測を行えるよう観測提案を提出した。 前年度および今年度の XRISM の観測から得られる円盤風の吸収線データを解析し、円盤風の噴出速度や噴出位置を調べることで、円盤風がX線照射による降着円盤外縁部のコンプトン加熱(熱駆動)で駆動されているか、あるいは磁場により駆動されているのかを突き止める。また、X線連続スペクトルを詳細解析し、降着円盤の内縁部の構造も明らかにする。さらに、電波や赤外線・可視光などのデータも合わせて解析し、円盤風による吸収線の構造変化と、多波長スペクトルエネルギー分布の形状変化の関係を調べることで、ジェットと円盤風が共存できるか、両者の構造変化にどのような関係性があるかを明らかにする。データ解析や解析結果に関する議論のために、今年度あるいは次年度に、円盤風の共同研究を行なってきた英ダラム大学の C. Done 教授や、ヨーロッパ南天文台の M. Diaz Trigo 氏を訪問することを計画している。そうして得られた成果を論文化し、国際会議や国内研究会で発表を実施する。また、XRISM 次期観測公募にもブラックホールX線連星の観測提案を提出し、継続して分光観測を実施できるよう準備する。
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Causes of Carryover |
XRISM の打ち上げおよび観測開始が当初の研究計画より遅れ、2023 年度中に分光データの解析を行うことができなかった。XRISM の観測成果を発表する目的で、2023 年度に計上していた国内・国外研究会参加のための旅費等を使用せず、次年度使用額が生じた。XRISM によるブラックホールX線連星の最初の観測は2023 年 2 月に実施され、そのデータが 2024 年 4 月中にチームメンバーに配布される予定である。2024 年度にはこのデータを解析し、その結果を論文や国際会議・国内研究会で報告する予定であり、そのための旅費や論文投稿料に次年度使用額を使用する予定である。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] ブラックホール X 線連星 MAXIJ1820+070 の長期光度曲線の解析2023
Author(s)
樋口成和, 村田勝寛, 河合誠之, 庭野聖史, 笹田真人, 高橋一郎, 谷津陽 一, 伊藤亮介, 志達めぐみ, 花山秀和, 堀内 貴史, MITSuME チーム
Organizer
日本天文学会2023年秋季年会
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