2023 Fiscal Year Research-status Report
巨大望遠鏡群によって解き明かす加速成長期にある銀河の内部構造
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23K03466
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
但木 謙一 北海学園大学, 工学部, 准教授 (30726435)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 銀河天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では今から125億年前に相当する赤方偏移z=4-6は、銀河における星形成活動が急速に高まっている時代に着目している。この時代における19個の『一般的な銀河』に対するアルマ望遠鏡を用いた高空間分解能観測が本研究課題の柱になっているが、今年度はアルマの大規模観測枠(ラージプログラム) で採択された計140時間にも及ぶ観測がおおむね完了し、1次解析(画像化など)についても終えることができた。
この観測プログラムは国際チームCRISTALの中で進めており、日本グループはダストの連続光放射と電離炭素輝線放射の空間分布を干渉計の直接的なデータ(ビジビリティ)から調べる研究を担当している。この解析についてもおおむね完了し、『一般的な銀河』におけるダストの連続光放射は『爆発的な星形成銀河』に比べて広がって分布していることが新たにわかり、銀河の円盤部を形成している最中であると考えられる。またハッブル宇宙望遠鏡によって観測した紫外線連続光放射もダストの連続光放射と同様に新たに生まれている星の領域を反映していると期待されているが、実際にはダストの連続光放射が若干広がっていることがわかった。観測的な原因としてはダストの温度勾配によって870umでの放射が見かけ上ひろがってしまったこと、物理的な原因としては銀河の中心部での星形成によってダストが外側に運ばれたことなどが考えられるが、これらの原因の切り分け・特定は今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルマ望遠鏡による観測もそのデータの解析ついても計画通りに進んでいるため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
解析についてはおおむね完了しているため、次年度はダストの連続光放射と電離炭素輝線放射について2本の査読論文として発表することを目標とする。並行して、アルマ望遠鏡を用いた複数周波数帯でのダストの連続光放射の観測・解析も行っていきたい。
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Causes of Carryover |
予定していたパソコン等の購入や海外出張を翌年度に行うことに変更したため。
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