2023 Fiscal Year Research-status Report
Paleosols in the Indus Molasse: reconstruction on uplift in Southern Tibet Plateau
Project/Area Number |
23K03546
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉田 孝紀 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (00303446)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | モラッセ / インダス層群 / 中新世 / ヒマラヤ |
Outline of Annual Research Achievements |
北西インド・カシミール地方に発達するIndus層群は,片麻岩や花崗岩礫を大量に含み,造山期後期の「モラッセ堆積物」として古くから着目されてきた. 2023年9月上旬において,カシミール地方のラダック南部において調査を行い,Indus層群の古土壌について検討を行った.この地域のIndus層群は下部よりNurla層,Choksti Conglomerate層,Hemis Conglomerate層,Nimu層からなる.Nimu層は中新統とされているが,そのほかの地層については明瞭な化石を書き,新第三紀・古第三紀のいずれに属するのか判然としない. Upshi村西方ではIndus層群の上部層であるChoksti Conglomerate層,Hemis Conglomerate層,Nimu層が観察される.Nimu層は網状河川堆積物とその周辺の氾濫源堆積物からなり,古土壌層が発達する.泥質岩は赤色を呈し,炭酸塩ノジュールを豊富に含む.また長さ1mを超える植物根や長さ30cm程度の生痕も頻繁に認められる.砂岩層は赤色を呈するものが多く,古土壌層が発達する.しかしグライ化のため,緑灰色や灰色をしめすものが多い.一部に黒色を呈する泥質岩を挟む.Choksti Conglomerate層,Hemis Conglomerat層では砂岩を挟むことがあるものの,泥質岩は希である.緑色を呈することからグライ化を受けていると考えられるが古土壌層を見つけることはできなかった. 室内分析においてはNimu層の古土壌層はFe, Al成分に富んだアルティソル(Ultisols)が多く,初生的にはやや乾燥した季節性の強い環境で堆積したものと考えられる.グライ化を被っていることから,季節的な降雨量は大きかったと考えられ,その形成環境について詳細に検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カシミール地域・ラダク南部において現地調査を行い,堆積学的・古土壌学的に重要な知見を得た.化学分析についてはやや進行が遅れているものの,概ね当初の計画通りに進行しているため,そのように判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年9月に再度,北西インド・ラダク地域(Zanskar川地域)において現地調査を行う予定である.
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Causes of Carryover |
現地調査における調査許可・サンプル輸出許可がスムースに進んだ結果,本来予定していた現地滞在数を短縮できた.そのため,通訳の雇用やレンタカーのチャーター等の費用を減じることができた.次年度使用額として計上した経費は,2024年度の現地調査に使用する予定である.
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